板橋区立中台中学校での活動

清水忠雄会員が、10月22日に東京都板橋区立中台中学校で行われた板橋区立中学校理科教育研究会の実験授業を参観し、その後の講評会に参加しました。以下は清水会員のコメントです。

今回の実験授業は、中学三年生理科の「運動とエネルギー」で、生徒約50人に対して中台中学校の教諭が行いました。実験は教科書に沿って、ペットボトルの蓋(キャップ)を10個、三角形になるよう並べ、その頂点に指ではじいて簡易速度計を通した別のキャップをぶつけ、何個のキャップが動いたかを数え、速度と動いたキャップの数をグラフに描いて、運動とエネルギーの関係を明らかにするというものです(次の図は下のサイトから借りています)。今回の実験授業では、 グラフを描く作業は宿題になりました。

清水図

丸亀市立中学校池本和志氏の報告より

この実験は、衝突によってキャップが飛び上がってしまったり、遠くに飛びすぎたりする例がみられ、キャップの移動という現象が、正しく運動のエネルギーを反映していない場合が多いこと、グラフを描く作業は宿題にせずに、その場で行う方がいいとコメントしました。上記の丸亀中の報告書では、飛び上がらないように、また速度を適正にするために、事前の練習が必要だと述べています。

キャップを使ったこの実験では、誤差・ばらつきが大きすぎるが、それでもグラフは二次関数にフィットすることを示すべきで、そこからエネルギーがなぜ速度の2乗になるかを物理的に説明できるように誘導すべきだと思いました。この実験を改良するためには、衝突体を球形にすること、運動エネルギーを受け取る方も球体1つにして、はじかれた距離を計測した方が、より正確な結果になるのではないか、などの検討がなされました。

これに関連して、「中学理科(ハロ理科)No.14」には、台車を使い、動けるように挟んだ物差しにぶつけて、その物差しの移動距離を計測する例が載っています。台車のスピードを変えて計測し、別な実験では台車の重さを変えて計測し、そこから、運動エネルギーは「物体の速さの2乗X物体の質量」に比例することを導くとしています(次の図は上記のサイトから借りています)。

 


キャップを使った実験の問題点を十分に議論する時間がなかったのと、エネルギーの理解に向けた授業案を用意したけれど披露する時間がなかったのが残念でした。

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