狛江市立第三小学校での活動(3)

日江井榮二郎会員が、9月21日の午前に狛江市立第三小学校で、6年生2クラスの児童を対象に、「太陽の活動」と「自分の星を見つけよう」というタイトルで、理科の特別授業を行いました。

広い多目的室でプロジェクターや仕掛けを使った立体的な授業で、校長先生、副校長先生、担任の先生方、それに何人かの父兄の方々も聴講していました。

今回は6年生2クラスが一緒に2コマ連続で行い、国立天文台の太陽観測所の研究員である萩野正興氏が日江井会員のお手伝いとして参加されました。
国立天文台太陽観測所のページへのリンク

授業の前に教室に入ると、準備に余念がありません。多目的室の一方の壁際に並べた机の上には、直径2メートルもある大きな白い風船がおかれているのが目を引きます。どうやら白い風船はスクリーンになっているようです。
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廊下を通る児童も、これから何が起こるのだろうかと興味津々で、覗きながら通り過ぎていきます。
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6年生が教室に入ってきて座ります。日江井会員は何人かの児童に赤い細紐を渡して、教室の端から端まで張り渡すように頼んでいます。これはいったい何でしょうか。
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担任の先生から紹介されて、まずはごあいさつ。あれ、日江井会員ともう一人は白髪白髭の人が、、。どこから来たのかしら。胸には「フレア博士」という名札をつけています。

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そのフレア博士がトップバッターで、太陽のお話です。この教室は宇宙船で、みんなそれに乗って太陽の近くまで飛んでいこう、さあカウントダウン、スリー、ツー、ワン、発射ということで、目玉マークが写っていた大きな白い風船は、太陽に早変わりをします。
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太陽の表面(正しくは光球の表面)を、黒点がいくつも左から右(東から西)へ太陽の自転で移動していきます。そもそも太陽の大きさは地球のほぼ110倍で、このくらいの地球が(と小さな球を出して)横に110個並ぶことになります。だからこの黒点の大きさも随分と大きいことがわかりますね。

どの黒点にも、黒い部分と白い部分が見えますが、黒がS極、白がN極を表しています。太陽の表面に磁石があるんですねー。この黒点、11年周期で増減を繰り返しているんですって。太陽の表面温度はおよそ6000度、黒点は4000度なので、黒く見えるそうです。
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太陽は、地球のように固い構造ではなくプラズマ状態で、それが太陽の回転によって渦を巻くことで電流が発生し、それに伴って磁力が発生するそうです。こうして発生した複数の磁力線が浮力で部分的に表面から浮き上がり、温度が下がるために黒く見えることになります。

太陽よりも少し上空部分(といっても2000km)を彩層と呼び、太陽表面よりも温度が高いプラズマ大気層となっています。ここで虹の色の覚え方「赤橙黄緑青藍紫」と言い、一緒に覚えようと皆で声を出して繰り返しました。筆者が昔憶えたときは「赤」の代わりに「紅」でした。

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Hα線観測による上の写真で、濃い筋になっている部分をフィラメント、白い部分をフレアと呼びます。フレア(博士の名前の由来です)は主として黒点付近で発生する爆発現象です。ここからがフレア博士の本領、発揮。

フレアはいわば「太陽のおなら」のようなもので、小さなプッもあれば、大きなブッもあると言って、音を出して(もちろん口でです)その違いを強調します。大きいと影響も大きく、人工衛星の機械が故障したり、送電線に過電流が流れたり、大きな影響の例ではカナダのケベック州で発電所に火災が起きたそうです。

そんな一方で、オーロラを発生させて目を楽しませてくれたりします。
20160921-10地球上の天気予報のように、太陽黒点やフレアの予報が宇宙天気予報として出されています。フレア博士は精度を上げるために研究をしているのだそうです。

フレア博士のお話しが終わり、児童から「なんで天文に興味を持ったのですか」と問われて、ハレーすい星が地球に接近したときにお父さんに長野に連れて言ってもらったのだけれど、お天気が悪く見えなかった、それが悔しくてこの道に入った、とおっしゃっていました。
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短い休みに続いて、日江井会員のお話です。最初にみんなに見せたのは、鉄隕石、アンモナイトと恐竜の骨の化石で、手で触って観察するように手渡して回覧してもらいます。
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続いて「蝉、人、星の一生、宇宙の広さ」とタイトルがあるスライドを見せます。バックは龍安寺の石庭です。蝉や人にも一生があるように、星にも一生があるのです。
20160921-14最初のほうに書いた赤い紐を先生方に持ってもらい、一番端にある名札を読んでもらいます。そこには「ビッグバン」と書かれています。赤い紐は13.8mの長さで、宇宙が誕生してから今までの時間の長さ138億年を表しています。

太陽・地球の誕生は半分よりももっと進んだ46億年前、生命の誕生は40億年前、恐竜が跋扈した後滅んだのは6500万年前、ヒトの出現はずっとずっと端のほうと、印したものを見せて、宇宙の誕生から今までの時の長さを示しました。
20160921-15この紐の長さだと、1000年は1cm、人の一生は長くても100年でわずか0.1µmなんですね。

星の一生と、カニ星雲、惑星状星雲などの写真を見た後、
20160921-1620160921-17恒星の輝きは核融合反応によるもので、さまざまな原子は星が創ったものであること、私たちの体の中の原子も、むかし宇宙で輝いていた原子がまわりまわってやってきたものなので、君たちも星の子であると話をすすめます。星にはいろいろな輝きがあるように、みんなもかけがえのない自分流に輝くことができるんだよ、強調します。
20160921-18不思議な絵を見せて、みんなにどんなように見えるかを答えてもらいました。
20160921-19いろいろな答えが出ました。これも自分流でいいということでしょうか。

質問の時間になると、銀河の膨張、ブラックホール、地球の将来などのさまざまな質問がありました。「宇宙人はいますか?」という質問に、フレア博士は即座に「います。私たちが宇宙人です。」と答えていました。

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6年生全自動を代表してお礼の言葉が述べられました。

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楽しい理科特別授業でした。

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狛江市立第三小学校での活動(2)

堀良通氏が、9月15日の午前に狛江市立第三小学校で、5年生2クラスの児童を対象に、「植物の形とはたらき」というテーマで、理科の実験授業を行いました。

教室に入ると、児童が事前に採集してあった植物を選んで自分の席に持ち帰って着席しているところでした。さあ授業の始まりです。

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最初のあいさつののち、先生は黒板に「かたち」と「はたらき」と書きました。20160915-3すべての生物には形があり、それぞれの形には働きがあります。形とはたらきは、難しい言葉で言うと「形態」と「機能」です。今日は、植物から形とはたらきについて学びましょう。そして形とはたらきの間には密接な関係があることを理解しましょう。

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植物の形は、動物と違ってとても単純です。たった3つのパーツだけからできています。何だかわかるかな。ハイ、ハイと手が上がります。そうだね、茎、葉、根です。花は葉が変形したものです。

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そのことを実感するために、机の上にある植物体をスケッチしましょう、と言って画用紙を配ります。さあ、スケッチタイムの始まりです。

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机の間を回り、スケッチしている植物の名前を聞かれると答えていきます。オヒシバ、メヒシバ、エノコログサなど、など。

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スケッチが終わったら、それぞれのパーツ(茎、葉、根)の形や色、はたらきについて、思ったことでもいいから、わかる範囲で配布された表に書き込んでまとめます。

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みんなスケッチ、うまいですね。
先生の作った見本の表を配布して、茎と葉と根の形とはたらきについて、児童とやり取りをしながら考えていきます。茎は植物体を支えて水や栄養を通す、葉は光合成、根は水を吸収して植物体を地面に固定する、、。みんなよく答えています。

単子葉植物と双子葉植物では葉の形が違いますが、根の張り方も違います。

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これは植物の進化の話になりますが、これはこれから先で学ぶことです、楽しみですね。生き物のを見るときは、今日のことを思い出して、形とはたらきのことをいつも考えてみましょう。きっと生物を見る眼が今まで違って、面白くなりますよ。

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今日はありがとうございました。

狛江市立第三小学校での活動

二宮洸三会員が、9月6日の午前に狛江市立第五小学校で、5年生2クラスの児童を対象に、「大気の変化・気象の変化」というタイトルで、理科の授業を行いました。

普通の教室ではなく、広い視聴覚室(?)でプロジェクターを使ってスライドを見ながらの授業でした。担任の先生に紹介されてごあいさつ。20160906-1気象に関しては、4年生で「天気の様子」として天気による一日の気温の変化を学習し、5年生では「天気の変化」として、雲と天気の変化を学習します。教科書をパラパラと繰りながら、そのことを確認し、今日は、ちょっと違った視点も加えて話を進めます、と述べて最初のスライドに。そこには、、

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●何のために理科(気象)を学ぶのですか?という問いかけに

○物事を深く考え、理解するトレーニングのため
○自然の調和の不思議と美しさを知るため
○自然を畏敬し、謙虚になるため
地球のすべての人・生物を大切に思うため
○環境問題・災害対応などの社会生活に必要な知識を学ぶため

●簡単に「一口の答え」を求めない!
未知のことが多いことを知る!
ただの物知りにならない!
自然の調和と美しさに感動し、深く考えよう

とありました。うーん、深いですね。

でもって次に、大気・気象の変化をどのように観測し、記録するか、観測者による変化のとらえ方には、固定した点で見る変化と移動しながら見る変化があること、その例として設置した気圧計や温度計による観測と、ラジオゾンデや気象衛星による観測があることを紹介。

動かぬ人の見る変化として、東京の一日の温度の変化と日射量の変化、一年の気温と降水量の変化、それと各地の動かぬ人の観測の結果として、シンガポール、台北、東京、イルクーツクと緯度の異なる地点での一年の気温の変化を例に、太陽と地球の位置関係によってこのような変化は生まれることが説明されました。
20160906-4気温が変化すれば、空気の密度も変化して気圧も変わる。気圧が変化すれば高気圧・低気圧が発生して温度も変化し風も変化する。さらに雲ができ、雨が降る。これらの変化がまた気温を変化させる、、、。このような一連の変化が実際の気象の変化をもたらすので、「一口の説明」では説明できません。物理学・数学を応用して理解する必要があり、これはみんなが中学、高校、大学に進んで取り扱えるようになることで、楽しみにしていてくださいね、と将来の学習へのつながりを強調しました。

上の写真のように冬と夏では気圧の配置が異なりますが、この気圧も日々、連続して変化していて、それによって降水量や気温が変化します。このような気象の変化は地球が誕生し、大気が今のような状態になってから、連綿として続いてきました。大地殻変動や噴火、隕石の衝突による大きな気候変動も起こりました。今は人類の活動が大きな気候の変化を生み出しています。

最後に感動することについて一言。最初にひまわりの送ってきた地球にかかる雲の画像を見た時はとても興奮しました。「感動することが理解の始まり!」です。

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今では、国際宇宙ステーション(ISS)から撮影した画像を簡単に見ることができます。

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(国際宇宙ステーション(ISS)から撮影された「スーパー台風」に発達した台風4号 (アジア名:メイサーク)の写真(2015年3月31日撮影、4月2日提供)。(c)AFP/ESA/NASA/Samantha Cristoforetti)

今では国際的に使われている10種類の雲の分類法は、19世紀の初めにイギリスのハワードによって作られました。彼は製薬会社の化学技術者で気象はアマチュアでしたが、雲の分類の必要性を感じて各地で雲を観察し、10種に分類してラテン語をベースとして名前を付けました。

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雪の結晶も、虹も美しいですね。また生物を観察すれば季節の変化を体感できます。こうしたちょっとしたことやものに感動して、いろいろと考えてみてくださいね。

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最後に児童の代表からお礼のあいさつがあって、授業は終わりました。

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