大井みさほ会員が10月5日午後に、狛江市立第一中学校で「人と光のかかわり 特にレーザーについて」と題した実験授業を、2年の生徒30名を対象に実施しました。この授業は、狛江市中学校教育研究会の研究授業として、理科部会の教員へ公開され、理科部会長の第二中学校校長をはじめ7名の教員が聴講しました。
第一中学校の丸田先生の発声で授業が始まりました。まずは自己紹介。 続いて各種の「光」について、太陽や月の光、用意したローソク、LEDライトスタンドなどを例に説明します。でもって、そもそも光とは何か、波なのか粒子なのかの論争が長い間あったことも説明、現在では、粒子と波の両方の性質を併せ持つ光子のあつまりと考えられています。
光を発するものは、太陽でもランプでも電気スタンドでも、粒と波の性質を合わせもつ光子を出しています。光子は、物質を構成する原子がもつ電子がエネルギー準位を変えたときに、その差に応じた波長をもって放出されます。この時、波長(f)と周波数(λ)の関係は以下のようになります。
λ・f=光速(一定)
私たちはこの周波数の違いによって色を感じています。普段、目にする光はいろいろな周波数の集まりです。
うーん、難しくなってきました。がんばって話を進めます。次はレーザー光についてです。
レーザーはL ight A mplification by S timulated E mission of R adiation の頭文字を組み合わせたもので、レーザー光を発生する装置を指します。レーザー光は人工的に作り出された光の一種なのです。レーザー光を発生させるには、1)反転分布、2)誘導放出、3)光共振器、の3つの現象が必要になります。
1)ふつうは原子の周りにある電子は、一番低いエネルギー準位にいます。それを刺激して(励起するといいます)、電子のエネルギー準位が上がった状態に保つことを反転分布といいます。
2)反転分布状態の電子に光を当てると、エネルギー準位が下がって一段下の順位に移り、その時、エネルギー差に応じた周波数の光が出ます。この光が引き金となって、別の電子を刺激して光を発することがあります。これがまた次の電子を、、というように連鎖的に同じ波長の光を次々に発する状態が生まれます。これを誘導放出といいます。この時の光は、波長がきれいにそろった(コヒーレントなといいます)光になります。
3)1)と2)ではまだ十分な強さではありません。ここでちょっとアナロジーとしてオルゴールを使って説明しましょう。
この手回しオルゴールを手にもってハンドルを回すと、きれいな音が出ますが、とても小さくてみんなには聞こえないでしょう。
でもこれを教卓の上において、同じようのハンドルを回すと、ほら、みんなに聞こえるような音が出ます。
これは共鳴ですよね。これと同じようなことをします。光共振器の利用です。1)と2)の過程を、2枚の鏡を向かい合わせた装置の中で行います。一枚の鏡は100%の反射率、反対側の鏡は95%の反射率を持たせると、発生した波長のそろった光は2つの反射鏡の間を往復しながら誘導放出を起こして強い光となり(レーザー共振)、その一部が一方の鏡を抜けて外に出ていきます。これがレーザー光になります。
1)から3)の過程を示す動画があったので載せておきます。
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レーザー光が波長のそろった指向性の優れた、強い光であることを利用して、身近なところではバーコードスキャナー、レーザープリンター、CD/DVDのピックアップ、さらに医療用のレーザーメス、レーザー加工機(切断や彫刻)など、レーザー光はさまざまな分野で利用されています。出力の小さなものはレーザーポインター(指示棒)があります。今日はそのレーザーポインターを使って、光による通信について実験をして確認してみましょう。
ということで、指向性の優れたレーザービームを使って、光ファイバーの中をレーザー光が伝わっていくことを確かめてみます。牛乳を少し入れた水槽にレーザーポインターで光を当てると、きれいに光路が見えます。なるほど、なるほど。
光ファイバーの中を、レーザービームは全反射によって外に漏れないで伝わっていきます。これを利用すれば例えばモールス信号を送ることができます。これもみんなで試してみましょう。
最後に、みんなに光ファイバーを「お土産」に渡して、今日の授業は終わりです。
ありがとうございました。お疲れさまでした。