神田久生会員が、11月22日に狛江市立和泉小学校で5年生の2クラスの児童に、物の溶け方と関連して、いろいろな結晶とそのでき方の実験授業を行いました。
始まる前に、いろいろな結晶を教卓に並べて準備します。
右端にケイ素の結晶、その左に方解石、テレビ石(ウレキサイト)、水晶、黄鉄鉱などが並んでいます。ダイアモンドもあるんです。
児童が理科室に入ってきました。ご挨拶ののち、自己紹介、「つくば市から来ました、つくばって知っているかな?筑波山は?」手が挙がって半分の児童が知っているようです。
ここからおもむろに結晶のお話へ。まずはみんなに教卓に並べた結晶を見てもらうことに。顔を近づけて見たり、触ったり、、。
いろいろな結晶を見てどう思ったかな。結晶とは、「原子が規則的に並んだもの」で、「そのため特徴的な形や色などの性質をもつ」のです。次の写真の右下の原子模型のように、結晶では原子が規則的に並びます。
それでは結晶はどこで見られるでしょうか。身の回りにたくさんあります。海岸の砂浜の砂を拾うと、砂粒の中に小さな結晶がたくさん混ざっています。河原に行っても同様です。一方、ダイアモンドは、特定の鉱山で深い地中から掘り出されます。
庭に置いた水槽が、寒い冬の日に凍っているのを見たことがあるでしょう。氷は水の結晶です。葉っぱに着いた霜も水の結晶です。
では結晶はどのようにできるのでしょうか。あるいは結晶を作ることはできるのでしょうか。結晶は原子が規則的に並んだものでしたね。水に溶けるもの(例えば食塩)だったら、水に溶かしてやります。そのあとで、食塩分子(実際はイオンですが)が規則的に並ぶようにすればよいのです。つまり、水をゆっくりと蒸発させてやれば、分子は規則的に並びます。
物質がもうこれ以上は溶けない量を溶解度といい(つまり限界があるのです、正確には1気圧下で一定温度の水100gに溶ける溶質の質量をgで表し、食塩は20度で35.89です)、溶解度まで溶かした水溶液を飽和水溶液といいます。ですから飽和水溶液に近い食塩水を温めて水を蒸発してやれば結晶ができるはずです。
ダイヤモンドのような水に溶けない結晶はどうやって作るのでしょうか。1400度以上で溶かした金属を溶媒としてこれに純度の高い炭素を溶かし、高圧にして結晶を付くrます。そのために大掛かりな装置が必要です。左がダイアモンド、右が水晶の結晶製造機です。
さあ、ここから実験です。いろいろな物質の濃い水溶液を持ってきたのですが、全部はできないので、まず食塩と尿素の結晶を顕微鏡で観察しましょう。
スライドグラスに一滴、水溶液を落としてドライヤーで乾かした標本があります。
標本をもらってテーブルに戻り、顕微鏡、ルーペなどで観察します。砂浜から採取した砂もルーペで観察してもらいました。
各班ごとに、食塩と尿素の結晶がどんなだったか発表してもらいました。実験ノートをちゃんと取っている児童もいます。
こうしたあっという間に45分の授業は終わりました。ありがとうございました。
補足:
食塩の結晶の成長の様子が次のNHKのページで見ることができます。クリックしてのぞいてみてください。
http://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005301099_00000&p=box