奥田治之会員が、11月25日に狛江市第一小学校で、6年生3クラスの児童に、「冬の星座を探そう 赤い星、青い星」と題して授業を行いました。
最初に自己紹介。宇宙科学研究所(JAXAの研究部門)で赤外線による宇宙観測を行っていました。はじめは気球を使い、人工衛星を使うようになります。現在、赤外線衛星「あかつき」が宇宙空間を飛行しています。
なぜ宇宙へ望遠鏡を上げなければならないかというと、星からの赤外線は大気に邪魔されて、地上にはほとんど到達しないからです。水蒸気の少ない高地や、大気圏の外に上げた望遠鏡で赤外線を観測し、遠い星からの情報を分析しているのです(赤外線天文学)。
自己紹介はこれくらいにして、星のお話をしましょう。今日のお話のエッセンスは、夜に戸外に出て空を眺め、ぜひ星を観察してほしいということです。冬の空は大気が澄んでいるので、星の観察には絶好の時期です。南の空を見上げるとこんな風に見えるはずです。もちろん星座を示す線などはありませんが、、。
中央から少し右下にあるのがオリオン座です。ベルトにあたる横並びの三つ星は見つけやすいですよね。右手にわきにしたにあたるところの星はひときわ大きく、「べテルギウス」という名前で呼ばれています。オリオン座の左方向にあるこいぬ座には「プロキオン」、左下のおおいぬ座の前足の付け根には「シリウス」という名前の星があります。この3つの星はひときわ目立つので、冬の大三角形と呼んでいます。みんなは夏の大三角形は習ったんでしたよね。
昔の人は、星は空を覆う丸天井に開いた穴だと考えていました。皆はそんな風には思いませんよね。星は太陽と同じ仲間で、恒星と呼ばれます。たとえば太陽は、温度が6000度、大きさは地球の100倍、地球から1.5億キロメートルのところにあります。新型最速新幹線(300㎞/h)だと着くまでに60年もかかる計算です。太陽が石油でできているとすると1万年で燃え尽きてしまう計算ですが、燃え尽きないのは核融合反応でエネルギーを作り出しているからです。
上で述べたオリオン座のべテルギウスは、日本では平家星と呼ばれ、オリオン座は鼓星といいます。確かに形が鼓に似ています。
オリオン座のベテルギウスは赤い色ですが、ほかの星は白い色をしています。どうして星の色は異なるのでしょうか。それは星の温度によるのです。
温度の低い星は赤く、温度が高くなると黄色になります。太陽がこれにあたります。さらに温度が高くなると青白くなります。
上の写真にあるようにべテルギウスは、一等星で地球から600光年も離れたところにあります。つまり今見ているベテルギウスからの光は600年前に星から発っせられたものだということです。赤い色に注目してください。直径は太陽の1000倍もある超巨星です。
いっぽう、プロキオンはベテルギウスよりもずっと近い、11.46光年先にあり、青白い色をしています。大きさは太陽の2.05倍ほどです。
シリウスも青白い星で、大きさは太陽の1.7倍、距離はさらに近くて8.6光年です。
ちなみにベテルギウスの表面温度はだいたいは3500度、太陽が5700度、プロキオンは6500度、シリウスは9800度で、この順に赤、黄色、青白色となっています。
オリオン座の三つ星の下に、ボーっとした光の塊が見えます。これがオリオン座大星雲です。
この大星雲を赤外線で観測すると、、
赤い(温度の低い)ガス、塵が見えます。星の生まれる温床なのです。星は、ガス、塵の温床から生まれて赤外線星となり、太陽のような黄色い星となり、ついで白い星となり、最後は膨張して赤色巨星となって爆発して一生を終えます。その後は、白色矮星になる場合もあり、中性子星あるいはブラックホールになる場合もあります。下の写真では中心左のボーっとしたものから反時計回りに回って赤い大きな巨星になります。
空を見上げるとたくさんの星が見えます。それらの星はいろいろな色をしています。明るいのも暗いのも、大きいのも小さいのもあります。目に見える星は全天で6000個ほどあります(季節で異なりますが)。
ぜひ、自分の眼で夜の空を見上げて、どんな星があるか、その星の色は?何歳ぐらいなのか?など、今日の話を思い出して考えて、調べてください。「自分の眼で見る、自分の頭で考える」が大事なのですから。