日江井榮二郎会員は、11月25日の午後に、対馬市立久田小学校で5年生と6年生の児童に対して、太陽の恵みというタイトルで講義授業を行いました。久田小学校の楠本正信校長をはじめ9名の教職員も聴講しました。
会場は図書室でした。太陽は「母なる太陽」と言われているように、絶え間なく地球に光のエネルギーを送ってくれています。全人類が消費しているエネルギー量の1万倍ものエネルギーを、地球に注いでくれています。しかし人類はまだ、太陽光を十分活用していなように思います。
樹木は太陽の光を受けて、空気中の二酸化炭素と水を葉と根から吸収し、光合成によって栄養となる有機化合物を作り出して、樹木を成長させています。
図はhttp://www.imart.co.jp/technology-front.htmlよりお借りしました。
二酸化炭素の成分である炭素には、軽いものと(炭素12)と重いもの(炭素14)があり、樹木は分け隔てなく吸収して年輪の中に残すので、古い樹木を7000年にわたって調べると、炭素14の変動が見られます。
炭素14は宇宙線が地球の大気中の窒素に衝突してつくられます。太陽が活発の時には太陽からの太陽風に乗って強い磁場が放出されて地球に到達するので、地球に注いでいる宇宙線が入りづらくなってしまいます。宇宙線が注がれにくいと、炭素14は少なくなります。炭素14が少ない時は太陽の活動が激しく、多い時には活動が鈍いという事が分かりました。
その結果、太陽の活動は11年毎に変動を示すが、数百年おきにも大きな変動を起こしていることがわかりました。大きな変動の時には、地球の気候にも影響が現れるので、大きな変動がいつ起こるかを予測したいのですが、今の天文学では予測ができません。それで太陽の研究を続けています。
図はhttp://ada-kitakyu.com/tentai/tentai.htmlよりお借りしています。
太陽は天の川銀河の内でどこに位置しているかを画像で示しました。銀河系の中心を軸として一周するのに約2億年かかるような位置に太陽は存在します。太陽は現在までに銀河系の中心の周りを23回まわっています。人間の年齢と似た年齢の数え方をすると、太陽は23歳であると言えるでしょう。今の太陽は若々しく、活動的な太陽のすがたが観測されています。太陽の中心は「押しくらまんじゅう」のように元素(水素)が強く押し込まれいて、互いに融合して別の元素(ヘリウム)になります(核融合反応)。その時に巨大なエネルギーが放出されます。
このようにして太陽は長い間、輝くことができるのです。白色光で観測された黒点の動画やX線で観測された活動的な現象の動画を見せて、天の川銀河に見られる馬頭星雲、バラ星雲、バレリーナの形をした暗黒星雲、散光星雲、超新星爆発の様子を示すかに星雲、星の死を見せている惑星状星雲の画像を見せ、恒星の誕生、成長、死、それに伴う恒星のガス放出、これらのガスが引力により再び集まり、次世代の星となるという星の生涯に触れました。
暗黒星雲のガスや塵の組成は、水素、炭素、酸素や一酸化炭素、アルコールなどの有機分子であり、これらの化学物質が生物の構成する元素となっています。だから君たちの体の中の水素、酸素、炭素、カルシウムなどは、すべて宇宙で創られたものなのです。
国立天文台製作の宇宙や天の川銀河系の誕生の動画、白色光で見た太陽やX線で観測された太陽の動画、皆既日食動画を見せました。ガモフの不思議な絵を見せ、何を感じ取るかを訊いて、これは正答のない設問であり、将来このような課題に必ず出会うから、その時のために正答のある問題を今のうち解いて、頭を柔軟にしておくようにと話しました。
小学生は元気がよく、質問も多く出ました。最後に国立天文台、すばる望遠鏡、アルマ望遠鏡、TMT計画、太陽観測所のパンフレット、Hα線太陽のシール、ぱたぱたキューブ、パラグアイ皆既日食ファイルを児童に渡し、太陽を見上げた時に今日の話を思い出して、また宇宙のことも考えてとエールを送りました。