有山正孝会員が、12月12日の午後、八王子市立高尾山学園で、「テコの話」というテーマで実験授業を行いました。参加した児童・生徒は5名、教員が2名でした。
事前の11月27日に学校を訪問して、学園の担当者と面会して授業内容の打ち合わせ行い、利用できる備品を確認して、スムースに授業ができるように準備しました。
テコは小6で扱うので、今回受講する児童・生徒では未履修者と既履修者が混在してしまうのですが、この点にはこだわらずに、授業を進めることにしました。
最初に、日常生活の中で出会ったり、使われているテコの例として、バール、ペンチ、レンチを実際に使ってもらいました。次に、演示用大型テコによって、たった指1本で10kgの錘を持ち上げられることとを体感してもらいました。このような体験と演示によって、テコの効用を体感してもらいました。
次に、物干し用ハンガー、天秤棒で、バランスよくものを吊るすためには、吊るすものをどのように配置すればよいかを考えてもらいました。その上で、水平にして中央で支え、両腕が上下に自由に回転できるようにした棒を用い、テコの規則性を示しました。さらに、錘を吊るす代わりに、上から抑えることでそれを体感してもらいました。
今度は、細長い板を机に固定して、その先端に穴をあけてボルトを鉛直に取り付けます。次に真ん中にボルトが通る穴を開けた棒を用意し、ボルトに差し込みます。これで棒はボルトを回転軸として水平面で自由に回転することができます。棒の両側に等間隔で紐を結び付けておき、この紐にばね秤をひっかけて、生徒に同じ方向に引っ張ってもらいます。こうすると中心のボルトから等距離の場合、二人の力が同じなら棒はどちらにも回りません。片方が大きければそちらの方に回ります。ばね秤のメモリで力の大きさを読み取ることができます。
まとめとして、固定軸の周りに棒を回そうとする力が働くとき、力の大きさの大小で棒がどちらに回るかが決まり、力の大きさが同じなら、どちらにも回らないことを理解してもらうように努めました。
最後に、テコの規則性の応用の一つとして、上皿天秤で「重さ」(あえて質量という語は使わない)の測定を経験してもらい、また竿秤による計量の演示を行いました。
固定軸の回りを剛体が回転するときに、てこの原理が成り立ち、物の重さをはかることができるということを、はるか昔に先人が発見しました。この端緒となったのは、水平面の回転だったのかあるいは鉛直面での回転だったのか、想像が広がります。