市川学園市川高等学校での活動

廣田穣、細矢治夫、町田武生、和田勝の各会員が、平成31年3月9日に市川学園市川高等学校で行われた、平成30年度SSH生徒課題研究年度末・発表会に参加し、指導助言を行いました。

昨年7月の中間発表会での活動報告にも書きましたが、市川学園市川高等学校はスーパー・サイエンス・ハイスクール(SSH)に選定されていて、生徒はほぼ1年かけて理科の課題研究を行っています。今回はそのまとめである年度末の研究発表会でした。

発表会は、アリーナを会場として、生徒の司会で始まりました。

校長先生のあいさつの後に、各課題のポスター発表が行われました(ただし数学の5題は口頭発表)。課題研究は合計133あり、内訳は、数学5、情報8、物理42、地学3、化学33、生物42でした。

前半は奇数番号、後半は偶数番号の課題の発表が行われ、参加した会員は、それぞれの専門の分野のポスター前で、発表者の説明を聞き、疑問点を質し、改良点などについて助言をしました。報告者は生物が専門なので生物の課題しか見ていないのですが、それでも数が多いので、すべてを聞くことはできませんでした。全体としてそれぞれが熱心に取り組んでいると感じました。ただ、データの処理のしかた、表現の仕方などに改善の余地があるものも散見さました。このような点の改善にSSISSが資する余地があると思います。

市川学園市川高等学校での活動

町田武生会員が、平成30年12月3~5日、および7日の午後に、市川学園市川高等学校において、理科課題研究の中間発表会に参加して、指導助言を行いました。

市川高等学校では、ほぼ1年にわたるSSH理科課題研究が毎週1回午後に行われています。おおむね実験が終わったところで、その進捗状況を口頭発表してもらい、質疑応答を経て取りまとめに向かってもらうための集まりが、上記日程であり、町田会員はこの口頭発表会に参加してアドバイスを行ったというわけです。

全部で137件の発表があり、そのうち生物分野は47件でした。47件のうち38件を町田会員は担当し、質疑応答やアドバイスなどをしました。

アドバイスは、実験そのものに対するもの、必要な文献の紹介などに加えて、実験に供している動物の生餌の提供、適当なアドバイスを得られるであろう専門家に連絡を取って紹介するなど、多岐にわたりました。おおむね指導助言の役割を果たしたということでした。

物理、化学等の分野についても、次年度は7月の全体発表会の際に個別に良く話を聞いて、必要に応じて12月に改めてコメントやアドバイスをするようにしたら、SSISSとしても有益な活動になるのではないかと考えています。

小金井雑学大学での活動

大井みさほ会員が、平成30年11月18日の午後に、小金井市商工会館の中にある萌え木ホールで行われた小金井雑学大学で、「生活と物理」というタイトルで講義を行いました。参加者は雑学大学の会員である小金井市民を中心に、大人が30名ほどでした。

「生活と物理」と題して、家の内外の日常生活に関係した物理、主として歩くこと、転倒、姿勢、重心など、力学的な話をしました。 転倒による骨折は、年齢が高くなると大きな危険因子となるからです。

力学的に考えると、 私たちが立って いられるのは体の重心から降ろした垂線の位置が、両足の足の裏が地面に接する面を囲む線の内側にあるからです。体を模式的に角柱で表して横から平面で見ると、図aのようになります。今、この角柱が左方向へ移動する場合、図bのように角柱全体が同じように動いていれば、転ばずに移動することができます。

ところが、体の上部と下部の速さが異なり、その差が大きくなって、重心から降ろした垂線が、足の裏の接する面を囲む線から外れてしまうと、足の裏に働く抗力と重心に働く重力によって回転モーメントが生まれて倒れてしまうことになります(図c)。このようなことが起こるのは、何かにつまずいたり、道路の凹みや段差に足を取られた時に起こります。

横向き の速さが小さければ、段差に足を取られても片足を前に振り出して踏みとどまることができますが、早く歩いていると間に合わないことになります。 なにご ともせかせかとするのでなく、 足元に気を付けて、ゆっくり動けば、転倒事故も減る というわけです。 実際の歩行運動は、左右の足を前に踏み出して地面を蹴って進むのでもっと複雑はことになるのですが、ここでは話を簡単にするために角柱での運動にしています。詳しくは、このページが参考になると思います。

また質量の単位など、いくつかの単位の定義が変更になることも紹介しました。2018年11月に開催された国際度量衡委員会で新しい定義が採用されたのです。一番大きな変更はキログラムです。これまで100年以上にわたってパリ郊外にある国際度量衡局に厳重に保管されてきた キログラム原器をもとして定義されていたのが、普遍定数であるプランク定数をもとに定義されたことです。

産総研に保管されているキログラム原器
https://www.aist.go.jp/sst/ja/aist_history/history1/index.html

新しい国際単位系(SI)の全体図です(産総研のページより)。

キログラムの新し定義は「プランク定数の値を正確に6.62607015×10のマイナス34乗ジュール・秒(Js)と定めることによって設定される」となっています。ピンときませんね。詳しくは、このサイトを参照してください。またブルーバックスの
臼田孝 著の「新しい1キログラムの測り方」も参考になります。

上の図にあるように、同時にアンペア、ケルビン、モルの定義も見直されました。これでSIのすべての単位が定数によって定義されたことになります。昔習ったメートル原器やキログラム原器は過去の話になったのですね。時代の流れを感じます。