日本理科教育振興協会総会に出席

和田勝会員が、2019年5月28日に東京ガーデンパレスで開催された公益社団法人日本理科教育振興協会の第48回定期総会に出席しました。活動報告にはちょっとそぐわない気がしますが、いちおうSSISSはこの協会の会員なので、書いておきます。

副会長の開会宣言の後、会長の挨拶があり、理科教育の重要性について述べられました。来年度から学習指導要領が変わるので、この一年が重要だと強調、実験、問題発見、考えて解決のサイクルを実験室で行うためには、理科教育の責任は大きいと述べていました。続いて来賓の文部科学大臣(大臣官房審議官が代読)の祝辞がありました。この協会は、会員数は1110社あるそうです。

会長から スライドを使って 平成30年度の活動報告がていねいに行われました。続いて今年度の事業計画と事業予算が説明されました。 議事として第一号議案平成30年度収支決算の説明があり、監査報告を経て承認され、第二号議案として役員改選が諮られ、提案通り承認されました。 そのあと、何人かの政治家の方々からの祝辞がありました。

総会後終了後に、環境・防災研究所所長で東大名誉教授の藤井敏嗣氏の「火山噴火のメカニズムと日本の火山活動」といタイトルの講演がありました。

総会後の講演会

5月18日の総会終了後、午後3時から午後4時まで、大井みさほ会員よる「光の進み方を調べてみよう」というタイトルの講演会が行われました。講演会というよりは、大井会員がふだんSSISSの活動で行っている実験授業の内容を紹介して、光の性質について参加者に考えてもらおうというのが、近いかもしれません。

総会後に講演会を行うのは今回が4回目で、去年と同じようにA4色刷りのチラシを外注で作成し、総会の案内に同封して会員に送付するとともに、いくつかの場所に配布しました。

レーザーポインターを使い、水槽に水を入れて、参加者に光の進み方を確かめてもらったり、光ファイバーの中をレーザー光が外に漏れることなく全反射で伝わっていく様子などを確かめてもらいました。

水槽に水を入れ、少量の牛乳を入れて レーザーポインターのビームを見やすくします。水槽の横からビームを照射し、水中をビームが直進することを確かめます。次にビームを空気中から水中に向けて照射すると、ビームは水面で屈折して水中に向かいます。このとき、入射角より屈折角の方が小さくなります。入射角を変えていくと屈折角も変わりますが、両者の正弦の値の比は一定で、空気の絶対屈折率(1.00)と水の絶対屈折率(1.33)(分母は水)になります。

今度は逆に、屈折率の大きな水から空気中に向かってビームを照射します。真上に向けた場合(これは水槽ではできませんが)はそのまま突き抜けます。90度から角度を小さくしていくと、 一部は屈折して空気中に出ていき 一部は反射します。角度を小さくしていくと、あるところで屈折角が90度になり空気中に出て行かなくなります。このときの角度を臨海角と言い、水と空気の場合は48.6度です。これは次の式を使って求められます。

  sin(入射角)/sin(屈折角)=空気の絶対屈折率/水の絶対屈折率

屈折角は90度なのでこの項は1となり、空気の絶対屈折率は1なので、結局、sin(入射角)=1/1.33となり、この値は0.750で、角度は上の値(48.6度)になります。つまりおよそ50度よりも小さくすると、光はすべて水面で全反射することになります。(次の図は「わかりやすい高校物理の部屋」の全反射の項からお借りしています。)

上の式から、分子に比べて分母の屈折率が大きいほど全反射の臨界角が小さくなることが分かります。光ファイバーは、屈折率の大きなガラスなどを中心(コア)に使い、外周部(クラッド)に屈折率の小さな素材を使っているので、光は中心部を全反射しながら進んでいくことができるのです。電磁波の影響を受けないので、光ファイバーは今や、デジタル通信などに欠かせない素材となっていますね。

2019年度の総会が終了しました

ネットに載せるのが遅くなってしまいましたが、5月18日(土)午後2時から2時55分まで、池袋立教中学校・高等学校地学教室で2019年度の定例総会が開催され、無事終了しましたので、経過の報告をします。なお、今年度は総会の様子を写した写真が少ないので、前年度の記事を参照して想像しながら読んでください。

有山正孝庶務担当理事の開会の宣言の後、出席者と委任状等提出者数から総会は成立しているという宣言があり、大井みさほ理事長から挨拶がありました。理事長は、大木前理事長の言葉を引きながら、次の一年も頑張れればと思うと述べられました。

続いて議長の選出が行われ、大井みさほ理事長が議長を務めることになり、以降は議長が議事進行をつかさどり議事が進められました。

第1号議題(2018年度事業報告及び収支決算報告)
事前に配布した資料に基づき、有山正孝庶務担当理事から2018年度の事業報告、和田勝会計担当理事から2018年度の収支決算の報告がありました。その後、奥田治之監事から監査報告があり、審議の後採決されて可決承認されました。

第2号議題(2019年度事業計画及び収支予算案)
有山正孝庶務担当理事から2019年度の事業計画の説明があり、和田会計担当理事からは予算案について、前年度と比較しながら説明がなされました。今年度は、事業費(実際の活動)のうちSSISSの活動のノウハウを手引きの形で公表するための金額を増やした予算案になっていることが説明されました。採決の結果、可決承認されました。

第3号議題(定款変更の件)
有山正孝庶務担当理事から、昨年度に引き続いて定款を変更する必要が生じた経緯が説明されました。
「平成24年4月施行の特定非営利活動促進法の改正に伴い、条文の文言に若干の変更がありました。また予備費に関する条項が削除されました。この改正は各NPOの監督官庁に対する義務、提出文書の文言に本質的な影響がなかったせいか、速やかに改正せよという指導がそれほど強くなかったようで、多くのNPOで定款改正がおこわれておりません。近年、都庁からの指導が強まった感じで、我々も正直に言えば気づかず改正しないまま放置しておおりましたので、この際、改正したいと考えて提案する次第です。」
その後、資料に基づき改正の要点の説明があり、審議した結果、賛成多数で可決されました。

第4号議題(役員の選任の件)
有山正孝庶務譚と理事より、定款第14条の定めるところにより役員は総会において選任することになっており、現在の役員の任期は2019年5月31日で2年の任期を終了、そのため6月1日からの役員を選任する必要があり旨の説明がありました。町田武生副理事長から理事会の提案が示され、一括で承認することが認められ、採決の結果、理事会の提案が承認されました。これまでとの変更点は、野津憲治理事が退任し、代わりに小林憲正会員が理事になる点です。

すべての議案の審議が終了したので、自由な意見交換が行われたのち総会での審議は終了しました。

最後に議事録署名人の選出が諮られ、奥田治之会員及び野津憲治会員を選任して、総会は無事終了しました。

総会の議事録はここにあります。

総会終了後、午後3時から大井みさほ会員の講演会があり、さらにその後、懇親会が開かれました。