総会後の講演会

5月18日の総会終了後、午後3時から午後4時まで、大井みさほ会員よる「光の進み方を調べてみよう」というタイトルの講演会が行われました。講演会というよりは、大井会員がふだんSSISSの活動で行っている実験授業の内容を紹介して、光の性質について参加者に考えてもらおうというのが、近いかもしれません。

総会後に講演会を行うのは今回が4回目で、去年と同じようにA4色刷りのチラシを外注で作成し、総会の案内に同封して会員に送付するとともに、いくつかの場所に配布しました。

レーザーポインターを使い、水槽に水を入れて、参加者に光の進み方を確かめてもらったり、光ファイバーの中をレーザー光が外に漏れることなく全反射で伝わっていく様子などを確かめてもらいました。

水槽に水を入れ、少量の牛乳を入れて レーザーポインターのビームを見やすくします。水槽の横からビームを照射し、水中をビームが直進することを確かめます。次にビームを空気中から水中に向けて照射すると、ビームは水面で屈折して水中に向かいます。このとき、入射角より屈折角の方が小さくなります。入射角を変えていくと屈折角も変わりますが、両者の正弦の値の比は一定で、空気の絶対屈折率(1.00)と水の絶対屈折率(1.33)(分母は水)になります。

今度は逆に、屈折率の大きな水から空気中に向かってビームを照射します。真上に向けた場合(これは水槽ではできませんが)はそのまま突き抜けます。90度から角度を小さくしていくと、 一部は屈折して空気中に出ていき 一部は反射します。角度を小さくしていくと、あるところで屈折角が90度になり空気中に出て行かなくなります。このときの角度を臨海角と言い、水と空気の場合は48.6度です。これは次の式を使って求められます。

  sin(入射角)/sin(屈折角)=空気の絶対屈折率/水の絶対屈折率

屈折角は90度なのでこの項は1となり、空気の絶対屈折率は1なので、結局、sin(入射角)=1/1.33となり、この値は0.750で、角度は上の値(48.6度)になります。つまりおよそ50度よりも小さくすると、光はすべて水面で全反射することになります。(次の図は「わかりやすい高校物理の部屋」の全反射の項からお借りしています。)

上の式から、分子に比べて分母の屈折率が大きいほど全反射の臨界角が小さくなることが分かります。光ファイバーは、屈折率の大きなガラスなどを中心(コア)に使い、外周部(クラッド)に屈折率の小さな素材を使っているので、光は中心部を全反射しながら進んでいくことができるのです。電磁波の影響を受けないので、光ファイバーは今や、デジタル通信などに欠かせない素材となっていますね。