小林憲正会員が、2月8日の午後に、千葉県立佐倉高等学校のSSH活動の一環として、「宇宙に生命の起源を探る」というタイトルで、2年生の生徒40人に対して実験授業を行いました。下の写真は佐倉高校のこのページからお借りしています。
6-7名ずつ6班に分かれてもらい、分子模型セット、コガネムシ、左右円偏光フィルター、鏡を各班毎に、パワーポイントのハンドアウトと質問の解答用紙を各生徒に配布しました。
まずはじめに、生命がどのように誕生したかについて、これまでの研究史を概説し、その中で、地球外での有機物生成が重要であること、また、アミノ酸のような生体分子が左右対称でないことが重要であることを解説しました。
その後、実習と観察を行いました。分子模型を使って、4つの結合手をもった炭素原子に4つの異なる原子(団)をつけた場合、2種類の分子(鏡像異性体)が可能なことを確かめてもらいました。
次に、コガネムシの羽を左右円偏光フィルターを通して観察すると、異なった色に見えること、鏡に写した場合は結果が逆になることを確認しました。
これらのことから、地球生命が分子レベルで非対称であることが生命の本質に関係することを考えてもらいました。これと関連して、右左の概念や生命とは何か、などについても考えてもらいました。
休憩後の後半は、地球外生命の存在の可能性について、いくつかの質問を通して考えてもらいました。地球上でも、様々な極限環境に生物が存在していることから、太陽系でも火星、エウロパなどの天体に生命が存在するかもしれないこと、その探査が行われていることを紹介しました。
太陽系外は電波による探査(SETI)が行われていますが、その成否は、文明の寿命に依存することを紹介しました。以上のことから、地球外生命を考えることは、私たちの環境・文明を護っていくことにも通じることを理解してもらいました。