3月23日の午後2時から3時45分に、佐々田博之会員が東村山第三中学校自然探求部の活動で1、2年生24名に対して、事前にもらった質問「レーザー光と普通の光の違い」に関して講義と実験授業を行いました。
「レーザー光と普通の光の違い」に答えるために、Power Point 30枚を使い、1時間かけて、波の特性、光が回折しないように見えるのはなぜか、レーザー光は普通の光より完璧な波に近いため細いビームとなることを説明しました。
レーザ(Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation)は、普通の白色光と違い、指向性(拡散せず広がらない)、単色性(波長が一定でそろっている)、可干渉性(位相がそろっている)といった特徴を持ちます(下の図はここからお借りしています)。
レーザー光は、単色の細いビームとして伝わり、壁などに当たるとギラギラ光るのでとても見やすく、ポインターとして最適です。また、CD-ROMへの書き込み、読み出しにも使われています。
波というのは、水や空気などの媒質の変化が、時々刻々、隣接する媒質に伝わっていく現象です。水面の高さの変化は水面派であり、空気の圧力の変化は音波、電磁場の変化は電磁波になります。電波、赤外線、可視光線、紫外線、X戦、ガンマ線は、いずれも波長の異なる電磁波です。
波には回折という現象が生じます。波が隔壁に空いた小さな穴を通ると、穴を通った波は隔壁の背後に回り込む現象です。下の写真は隔壁に空いた2つの隙間から水面波が隙間を通った後広がる様子を示しています。
光も波ですから、回折が起こるはずです。光は水面波に比べると波長がずっと短いので、上の例のように簡単には観察できません(下の図はここからお借りしています)。
手のひらを光源に向けて、指と指の間を狭めていってみてください。あるところで指と指の間の隙間に黒い線が表れると思います。これが回折によって生じた現象です。短い波長の波に回折を生じさせるためには、細かいスリットを施した回折格子を使います(下のものは一例で、10mmあたり2000本のスリットが刻まれています)。
このような話をした後に、1時間弱でLED(赤、緑、青)とレーザーポインター(赤、緑、青)を光源にして、紙での散乱(レーザーではスペックルが見える)、ハンカチでの散乱(レーザーでは干渉縞が見える)、回折格子シートでの回折(レーザー光はLED光より高次の回折まで見える)を観察しました。また、波長(赤、緑、青)による回折角の違いを調べました。与えられた質問が高度なので、全てを完全に理解することは難しかったかもしれませんが、レーザー光と普通の光の違いは体験できたようです。