東村山第三中学校での活動(3)

7月18日に町田武生会員が東村山第三中学校で自然探求部の活動を支援して実験授業を行いました。1年生から3年生までの部員35名が参加し、教員も5名、参加しました。

自然探究部での実験研究の進め方を考える一環として、老化研究とはどんなものかを知りたいとの依頼があり、ヒトの体が細胞から成り立っていること、それら細胞に分裂能力の限界、つまり寿命があることがこの分野の研究の基本であることを述べました。

培養下でガン細胞の増殖に限界はないが、正常の細胞には分裂の回数に限りがあることを見出した研究を紹介し、体を構成するさまざまな細胞を、小腸、大腸、肝臓、すい臓、腎臓、甲状腺、脳下垂体、精巣、卵巣、大脳などの組織標本を持参して、顕微鏡で観察してもらいました。下の写真はラット小腸の光学顕微鏡写真(ヘマトキシリン・エオシン染色)で、ここからお借りしています。

からだを構成する細胞の分裂回数には、染色体の末端にあるテロメアという部分が、カウンター時計のような働きをして回数を規定していて、細胞の寿命を決めているという考えがあります。一方で、細胞の中には、筋肉や神経細胞、脂肪細胞などのように、成長の段階で分裂増殖を終えてしまい、その後は個体の死までずっと活動するものがあり、これらの細胞では細胞の活動によって必然的に起こる酸化などの物理化学的な反応そのものによって寿命が規定されているとの考えを紹介しました。 下の図はここからお借りしています。

老化研究をはじめとして、さまざまな実験研究では、筋道を立てて研究に取り組むとともに、ものの見方や視点を変えることにより新展開が開けること、偶然の気づきや誤操作により新発見が得られることなどの事例を紹介し、とにかく何かやってみることから始めようと促しました。

部活動は授業の指導案などに規定されない自由な実験研究活動なので、気楽に楽しく身近な疑問や気付きを解決することから始めてみようと勧めました。当該校は教諭・校長とも科学部活動に非常に意欲的なので、われわれとしてはごく簡単な実験観察を生徒と一緒に行うのが良い手掛かりになりそうに思いました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です