江戸川区子ども未来館での活動(2)

和田勝会員が、8月9日の午後に、江戸川区子ども未来館が毎年実施している「子どもアカデミー夏休みプログラム」の中の一コマとして、「生物は細胞でできている」というタイトルで実験授業を行いました。参加したのは小学校4年から6年の児童13名でした(当初の予定では16名の予定でしたが、3人休みました)。子ども未来館の前川啓二さんが手伝ってくれました(写真はすべて前川さん提供です)。

顕微鏡の操作に慣れていない児童が多いので、ハンドアウトを配布して、丁寧に説明をしました。下の図はハンドアウトの1ページ目です。

拡大するためには、虫メガネがあるけれど、さらに拡大するためには、実体顕微鏡があることを述べ、テーブルに用意されている実体顕微鏡で、折り込み広告の写真を見てもらいました。20倍なので、CMYK(シアン、マゼンダ、イエロー、ブラック)の点で、写真が印刷されているのがよくわかります。

細胞を見るためにはさらに拡大しなければならず、そのためには、光学顕微鏡が必要だと説明し、光学顕微鏡の使い方の説明に移りました。持参したプレパラートを配布して、ピント合わせ方からメカニカルステージの操作、倍率のあげ方などを説明しました。

次にゾウリムシを配布して、40倍と100倍でゾウリムシの泳ぎ方、どのように泳いでいるのかを観察してもらいました。単細胞生物のゾウリムシが泳ぎ回っているのを観察するのを楽しんだのち、動きが早いので、メチルセルローズで動きを止めて観察を続けました。

ついで、タマネギ鱗茎葉の表皮細胞を観察するために、内側の表皮を薄く剥ぎ取り、アセトカーミンで染色をして観察しました。敷石のように並んだ表皮細胞の一つ一つに、核が染まって見えることを確認してもらいました。ミニトマトの表皮もやる予定でしたが、時間の都合でスキップしてしまいました。

最後に動物も細胞からできていることを納得するために、自分の頬の内側のはく離した表皮細胞を綿棒のぬぐい取り、スライドグラスにこすりつけてアセトカーミンで染色して観察してもらいました。

たまねぎの細胞に比べるとずっと小型で、数も少ないのですが、すべての児童が、下の写真のような自分の細胞を観察することができました。 下の顕微鏡写真はここからお借りしています(著作権者は鈴木雅大さんです)。

4時で終了したのちに、子ども未来館の前川さんと懇談し、受講者が書いた「こんなことやったよシート」を見せてもらいました。

よくわかりましたか? とっても 9、まあまあ 4 ぜんぜん 0
わくわくしましたか? とっても 12、まあまあ 1 ぜんぜん 0

感想文の中に、細胞が観察できてよかった、うれしかったというものが多く見受けられました。また、いつも食べているタマネギに細胞があるということが驚きだったというのもありました。ゾウリムシは気持ち悪いという感想もありました。

多くの受講者が面白かったと答えていたので安心しました。

江戸川子ども未来館での活動(1)

大井みさほ会員が、8月8日の午後に、江戸川区子ども未来館が毎年実施している「子どもアカデミー夏休みプログラム」の中の一コマとして、「光のすすみかたー光で遊んで、光を学ぼう」というタイトルで実験授業を行いました。参加したのは小学校3年から6年の児童20名でした。子ども未来館の前川啓二さんとボランティアの3名の方が手伝ってくれました。

最初に、「光とは何か」を、太陽、月から始まって、たき火、電気を使った電球の光、蛍光灯などを例として説明し、次に、「レーザーについて」の話を、絵や図を使って行い、実験に入りました。

赤と緑のレーザーポインターを各テーブルに1つずつ計2本用意しました。空気中では、レーザー光をとばすと、レーザービームの途中は見えないが、ビームが天井などに当たると、当たったところが見えることを確認しました。次に、水槽に水を入れ、水中にレーザービームをとばしても見えないが、カルピスを少し加えて水を白濁させると、水中でもレーザービームが見えるようになることを確認しました。レーザーポインターの光を角度を変えて水にあて、入射、屈折、反射を観察してもらいました。

さらに光ファイバーについて説明しました。ファイバーの中に光を入れると、ファイバーの管壁で全反射されて、光は閉じ込められた状態で進んでいくことを解説し、実際にファイバーで光を送り、観察をしました。下の図はここよりお借りしています。

また光の速さが299792458 メートル毎秒と定義されたことも説明をしました。 光の実験はきれいなので、子どもたちも興味を持ってくれるようです。

八王子市立中学校夏休み自由研究相談会

毎年、12月に開催される八王子市教育委員会、八王子市立中学校PTA連合会主催の「八王子市中学校科学コンクール」に協賛し、受賞作品の評価を行ってきましたが、本年度から、そのコンクールに関連した夏休み自由研究を効果的に進めるサポートとして、希望する生徒さんに対して「夏休みの自由研究相談会」を開催することにしました。7月21日にPTA連合会の関係者とオンラインで打ち合わせを行い、7月27日の午前にZoomによるオンラインで相談会を実施しました。初回の本年度は、最終的に3名の1年生の申込みのみでした。参加したのは、西原 寬、町田武生、伊藤眞人、小林憲正、和田 勝、奥田治之、坪村太郎会員でした。またPTA連合会からは、会長の相川睦美さんとブロック長の荒木美奈さんが参加されました。

最初に、SSISSメンバーの自己紹介、PTA連合会の自己紹介、生徒さん及び保護者の紹介をしたあと、町田会員が「自由研究をしよう」というタイトルで、楽しく研究して上手にまとめよう、これは何?なぜ?どうして?、調べてみよう、ただ調べるだけではいけない、何が分かっていて、何が分かっていないか きちんと調べて既知の知見を把握・理解しよう、行おうとしている実験・研究にもっとも相応しい材料・方法を考えよう、実験・研究の結果は数量的に、得られた結果に基づいて考察を、実験ノートは必ず用意し、正確に詳細に記録する、研究のタイトル・表題を決める 研究報告・レポートを作成する、参考文献・引用文献を正確に、研究報告・レポートは分かり易く簡潔・明瞭にまとめよう、の各項目について、大事なポイントを説明し、町田会員が中学生の時に行った自由研究「チョウをしらべて」を具体例として紹介しました。

次に、3名の参加者から、自由研究としてやってみたいと考えていることについて話してもらい、アイデア交換やアドバイスを行いました。Oさんは、犬を飼っており、犬の嗅覚について調べたいという考えがあったため、実験を始める前の知識の獲得、研究の方向や進め方について、さまざまな意見を出し合いました。質問等がそれ以上ないことを確認して次の生徒さんに移り、Tさんは、カラスの習性や鳴き声に興味があるということで、カラスに関する自由研究のアイデアについてさまざまな意見を出し合いました。3人目のSさんは特に考えているテーマがなく、ゲームや本を読むことが好きだというので、どのような研究の題材があるかについての情報として、日本学生科学賞に応募した中学生の作品のタイトルリストを提供しました。また、ゲームや情報科学と関係した研究もあることをアドバイスしました。

最後に、もし、生徒さんが相談したいことがあれば、PTA連合会を通して連絡してもらえば対応可能であることを伝えて、相談会を終了しました。

東村山第三中学校での活動

奥田治之会員が、7月11日の午後に、東村山第三中学校の科学クラブの部員30名に、部活動の一つとして、日時計の原理と制作の出前授業を行いました。

はじめに、日時計の歴史をたどり、日時計の原理を説明し、様々な形の日時計を紹介しました。意外なことに、日時計についてあまり知らなかったようです。日時計についての奥田会員のお話は、過去に行った下記のページに詳しく載っています。

日時計の原理を理解したうえで、紙細工の日時計の制作を全員で行いました。あいにく、当日は天気が悪く、屋外で実験をすることができなかったので、人工の光源で作動を確認することにしました。その後、日時計の示す時刻はいつも正確ではなく、経度による標準時からのずれ、また、地球の公転が楕円運動であること、また、自転軸が傾いていることによって一日の長さが変わる理由を説明し、それによる補正(均時差)を加えなければならいないことを説明しました。

さらに、自作の日時計のモデル、球形レンズを使った日時計、CDディスクの円形グレイティングを利用した日時計など、ちょっと変わった日時計を展示したりしました。最後に、時間に余裕があったので、天文、宇宙に関する生徒からの質問などに応じて話をしました。

千葉県立船橋高等学校での活動

船橋高等学校のSSH課題研究の実施にあたり、メンター指導をしてほしいとの要請を受けました。対面で3回、オンラインで適宜(3回程度)の指導をということでした。メンター指導は、成果を上げることを主な目的とするものではなく、生徒の成長を支援する指導であり、高いレベルの研究を目指してはいるが、そこに無理にもっていこうとするものではない、とのことでした。町田武生、和田勝会員が、要請を受けることにしました。

事前(6月20日)にオンラインで教員とコーディネータの方と打ち合わせを行い、7月9日に対面で指導することが決まりました。

生物分野の研究計画は5件あり、それぞれの研究計画書が事前に送られてきて、当日は2人が手分けをして対面で計画の内容を聞き、研究の進め方、問題点の指摘、実験を行う際の注意点、などについて指導、助言をおこないました。件数が少ないので、テーマを記しておくと、「鳥の部位による羽根の撥水性の違い」「砂漠における高吸水性樹脂の利用と大豆の育ちの関係」「陸上高等植物由来のアレロケミカルを用いたアオコ原因藻類の防除」「室内アクアリウムに生息する淡水珪藻の同定と珪藻種ごとの脂質含有率の比較」「ショウジョウバエの番の一貫性」でした。

次回の対面は9月に行い、その間に実験を進め方などで必要があれば、メールのやり取りあるいはオンラインで指導助言を行うことになりました。

都立日比谷高等学校での活動

7月9日午後に、小林憲正会員が、東京都立日比谷高等学校のSSH事業の一環として、本年度1年生全員320名に対しておこなう、SSH特別講演会(理数探究基礎特別講演会)の講師を務めました。

日比谷高校校では、1年生は全員生物基礎、地学基礎を履修するため、これまでは生物・地学系の講演が多く、化学に関連した話題が求められたため、「化学で探る生命の起源と地球外生命」というタイトルで講演を行いました。約2時間の講演を前半と後半に分け、前半は「生命の起源や太陽系についてわかったこと」、後半では「生命の起源や地球外生命について,わかっていないこと」としました。

日比谷高等学校では、文系・理系の区別をつけておらず、全員がSSHプログラムに入っています。そのこともふまえ、今回の講演テーマが理科のさまざまな分野にまたがり、さらに文系の側からの寄与もあることを述べました。

講演中にも質問を受け付け、若干数の質問がありました。さらに講演終了後、別室で質問を受ける会を開いたところ、多数の参加者が集まり、1時間半くらい、質疑応答などを行いました。