11月14日午後4時から5時半頃まで、坪村太郎会員が「酸化と還元に関わる実験」という内容で、自然探求部の実験活動の指導を行いました。参加者は1、2年生21名で、6班に分かれて実験を行いました。また自然探究部顧問の福島恵美教諭と副顧問の入江翔太教諭にもお手伝い頂きました。
当日の内容は、
●実験A うがい薬とビタミンCなどの反応
●実験B うがい薬とデンプンの反応
●実験C 電気分解によるうがい薬の再生
としました。
実験AとBは実際に生徒さんにやってもらい、Cは坪村が行った演示実験を大画面のモニターに映して見て見てもらいました。
まず、中学校の理科では、酸素と結びつくことを酸化、その反対で酸素をうばうことを還元と習うこと、さらにビタミンCが酸化を防止、つまり他の物質を還元させる性質があるので、酸化防止剤として食品や飲料に入っていることを説明しました。その後、実際の実験となりました。
●実験Aでは、試験管に水を入れ、そこに市販のうがい薬(ヨウ素の入った褐色のもの)を1滴入れて薄い褐色の溶液を作ります。そこに健康食品として売られているビタミンC製剤顆粒を数粒入れると、色が一瞬で消えることを確認しました。さらにこの試験管に過酸化水素水溶液と希硫酸を加えると、しばらくしてまた元の褐色に戻ることも確かめました。また、ビタミンCの代わりに、果物(キウイとミカンと柿のいずれか)を少量入れると、やはり無色になることや、ブドウ糖を加えた場合も(多少加熱する必要がありますが)うがい薬の色が薄くなることを確認しました。
●実験Bでは、まず2本の試験管に熱湯を入れて、両方にデンプン(片栗粉)を少量入れて溶かします。そのうち1本にはそのままうがい薬を1滴入れ、もう1本にはだ液を少し入れてから、うがい薬を1滴入れて比較しました。最初の試験管では、デンプンを入れたことで溶液が青~濃い青紫に変化しましたが、もう一方の、だ液を入れた方の試験管では、うがい薬を入れると無色の溶液となりました。この実験では、残念ながら2本の試験管で違いが見られなかった班もありましたが。
上の動画の後半(ベネジクト液の部分)は無視してください。
●実験Cでは、実験の様子をカメラで写し、それを大きなモニタに映して皆で見守りました(下の写真)。ガラス容器に硫酸ナトリウム水溶液を入れ、うがい薬を入れます。そこにビタミンCを色がちょうど消えるまで加えて、2本の電極を立てて電流を流し、電気分解を行いました。すぐに両方の電極から(水の電気分解による)泡が出てきますが、5分程度すると陽極の回りの溶液が黄色く変色していくのが分かりました。黄色い部分の溶液を採取し、デンプンに滴下すると青く変色し、ヨウ素が生成していることが確認できました。
実験後、説明の時間となり、実験Aからはうがい薬の色変化はヨウ素がヨウ化物イオンに還元されたことによること、果物にはビタミンCが入っていること、ブドウ糖も還元の作用があることを説明しました。実験Bでは、うがい薬中のヨウ素がデンプンと結びついて青くなること、だ液を入れるとデンプンが分解されて麦芽糖になるので青くはならず、ヨウ素は還元されるので無色になることが分かりました。実験Cでは、電気の流れ、すなわち電子の流れによって、酸化の作用が起こっていること、つまり酸化還元反応は電子の流れと関係しているということを説明しました。このことは中学では習いませんが、高校の化学では勉強するということもお話ししました。
最後に質問タイムとなり、ビタミンCによる色の変化はすぐだったのに、過酸化水素で元に戻すのはなぜ時間がかかったのかという鋭い質問もなされ、反応の速さは速いものと遅いものがあるという回答をしました。福島先生からは、例えば鉄がさびるのは非常に時間がかかるよねというフォローも頂きました。楽しく無事に実験を終えることができたと思います。
注:上の動画はYouTubeからのもので、参考のために載せています。この通りの実験を行ったわけではありません。