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第16回八王子市立中学校科学コンクール発表会・表彰式での活動

第16回八王子市中学校科学コンクール発表会と表彰式が、11月30日午後1時から4時まで、八王子教育センターで開催され、SSISS会員の伊藤眞人、大井みさほ、奥田治之、小林憲正、佐々田博之、進藤哲央、坪村太郎、西原 寛、 町田武生、和田 勝の10名が出席しました。

このコンクールは主催が八王子市教育委員会と八王子市立中学校PTA連合会、後援が八王子市立中学校長会で、オリンパス株式会社、NPO法人SSISS(科学技術振興のための教育改革支援計画)、コニカミノルタサイエンスドームが協賛をしています。

今年度は、33校から69題の自由研究作品が提出され、その中から先生たちによって最優秀賞1件、優秀賞1件、審査員特別奨励賞6件、ポスターイラスト賞2件、佳作12件が選考されました。

研究発表会・表彰式の開会式では、八王子市教育委員会の上野さんによる開会宣言で始まり、続いて参加団体の紹介が行われ、主催者である八王子市中学校PTA連合会の廣田貴子会長の挨拶がありました。続いて協賛団体を代表してオリンパス株式会社担当役員田代芳夫さんの挨拶があり、そののち来賓の紹介がありました。最後にこの1月に選出されたばかりの初宿(しやけ)和夫市長からの挨拶があり、開会式が終了し、受賞者と来賓たちの勢ぞろいの記念写真撮影が行われました。

開会式終了後、いよいよ発表会です。初めに奨励賞のポスターセッションが行われました。奨励賞は以下の6件です。

 「グリーンカーテンを使った快適な部屋づくり」
   松木中学校1年 大橋夏歩
 「風車の羽の形と生み出す力に関係はあるのか」
   七国中学校1年 中村郁杜
 「グラスハープ1音にかかる質量(g)と容積(ml)の関係を探る」
   中山中学校3年 奥村柴乃
 「環境推定研究-相模川で採掘した示相化石からー」
   南野中学校2年 石毛陽菜月
 「よみがえる野菜の秘密-野菜廃棄部から野菜を再生できるのか」
   松木中学校3年 笹原來実
 「浅川の魅力 GASA GASA」
   打越中学校3年 荒井柚花

下は、ポスター発表時の写真を、上の順に並べたものです(クリックすると拡大されます)。どの研究も、興味深いものでした。

6題を2つに分け、それぞれ10分ずつの発表が3回行われました。参加者はポスターの前に集まって説明を聞き、質問したりしました。

どの研究も、身近なことの疑問や触れたことから、例えば旅行先でサービスエリアにあったグリーンシェードを使った部屋に入ったら涼しかったことから、グリーンカーテンの効果を実際に作って試してみたり、河原で見つけた化石から過去の河川敷の環境を推定したりと、研究を進めていて、好感が持てました。

発表終了後、関係者は別室に移って協議し、審査員特別奨励賞のなかから、教育長賞、オリンパス賞、SSISS賞、コニカミノルタサイエンスドーム賞、校長会賞、中P連会長賞を選考しました。

その後、優秀賞、最優秀賞の順で、パワーポイントのスライドを使った15分間の発表・質疑応答が行われました。

  優秀賞 「骨を伝って音を聞くー骨伝導ー」
   第六中学校2年 次田優希
  最優秀賞「野球のバントをするときのコツを明らかにする研究」
   七国中学校1年 長尾 錬

優秀賞の骨伝導の研究は、父親が骨伝導イヤホンを使って音楽を聴いていたので、耳を使わずにどうやって音を聞いているのか不思議に思い、研究を始めたそうです。また最優秀賞のノックの研究では、中学に入って野球部に入部したが、練習でノックがうまくできないので、そのコツを知るために、ピッチングマシンとバット固定装置を自作して、さらにボールの軌道を判定するフィールドまで作成し、バットにボールを当てる位置、バットの前後上下の角度を変えて、打ち返したボールの軌道を求めています。こちらも身近なことから疑問や問題点を持ち、研究を進めていて素晴らしいと思いました。

すべての発表が終わった後、表彰式が行われました。最優秀賞には賞状とともにトロフィーと金メダル、優秀賞には賞状と銀メダル、奨励賞には賞状と銅メダルが授与されました。

また、SSISSからは副賞として、すべての受賞者にSSISS理事長の西原 寛・中田宗隆編著の「教養の化学―生命・環境・エネルギー」とSSISS理事の小林憲正著の「生命と非生命のあいだ ―地球で「奇跡」は起きたのか」が副賞として贈られました。

奨励賞の6件には、はそれぞれ教育長・オリンパス・SSISS・校長会・中P連会長・サイエンスドーム賞として表彰状を送っています(詳細は省略)。SSISS賞には、中山中学校3年の奥村紫乃さんの「グラスハープ1音にかかる質量と容積の関係を探る」を選定しています。

奥村さんは絶対音階の持ち主で、グラスハープの音色を聞き分け、下の写真のように一音階を再現しています。グラス内の水の量によって音階ができますが、SSISS会員の間で、ポスターセッションが終わった後も、なぜ水の量が多く空間の少ないほうが低い音なのか、議論してしまいました。縁を擦ることにより空間が振動して音を出すのだと思っていたのですが、実際はワイングラスが振動して音を出すようです。グラスの固有振動数は重量によって変わるので、重いほど振動数は小さくなり、音は低くなります。比重の異なる液体でも、ゼリー状にしても、液量は少し異なるが同様な結果でした。要するに、グラスの重さがカギなのですね。参考になる文献はここに

グラスハープでこんな音楽が奏でられるんですね。ちょっと脱線しました。

その後、SSISS代表として西原 寛理事長が講評を行いました。

ついで校長会上田 太校長の総括、中P連の荒木美奈副会長の謝辞、閉会宣言が行われて閉会しました。最後に受賞した生徒さんの集合写真、晴れやかな笑顔の写真、を撮影しました。  

一番最後に、今回参加したSSISS会員(十勇士)の写真を撮ってもらいました。9人しか写っていないのは、奥田会員が写真を撮る前に帰られたからです、残念。

市川学園市川高等学校での活動(2)

市川学園市川高等学校は、今年度から4期目のSSH指定を受け、2年生のうち理系生徒が課題研究を行うことになり、テーマ設定に向けて先行研究の調査を行い、それをもとに研究構想を練り上げて発表するポスター発表会が6月14日、17日、18日、19日と4日間にわたり、学園のコミュにティープラザで行わたことはすでに報告しました。この後、生徒たちは実験を実施し、ある程度まとまったものを口頭で発表する催しが、11月26日、27日、29日、12月2日の4日間にわたっておこなわれました。SSISSからは、伊藤眞人、小林憲正、進藤哲央、町田武生、和田 勝会員が参加し、質疑応答、指導助言を行いました。

数学、物理学、化学、生物学、地学の分野の、合計222件の発表が4日間にわたり、各日8会場で実施されました。会場が離れているために、それぞれの会員は、離れた会場へと移動を繰り返し、それぞれ実質8分の1以下にしか参加できませんでした。口頭発表は、座長や発表時間の管理などすべて生徒が運営していて、会場で聴いている生徒はほとんど移動していなかったので、口頭発表の訓練の側面があったものと思われます。

さて発表の内容ですが、極めてレベルの高い研究から初歩的なものまでと、さまざまな取り組みに触れることができ、生徒の実験研究に対する認識と旺盛な意欲とを知ることができました。ただし、その研究を行う意味、意義、必然性の詰めが甘い例や、研究計画の立案にあたって何をどのように調べればどのような結果が得られるかを、十分に考えていない例が散見され、やや残念に感じましたが、総じて発表はどれも良く考えられ準備されていて見事でした。

この発表会会期中の11月29日に、教員情報交換会が開催され、他校の教員等との意見交換がなされました。30名を超える理科教員を擁する当該校の課題研究の進め方、指導体制等が詳細に紹介され、研究の論理性、研究倫理の重要性などが強調されていました。懇談の中では、理科実験室を生徒が自由に使えるように開放して効果を上げていることが披露され、交換会に参加した各学校に大きなインパクトを与えていました。

発表会とは全く関係がないのですが、始まる前に待機のために案内された図書室の閲覧室の一角に、こたつの置いてある和室風の閲覧コーナーがありました。ちょっといい感じ。

千葉県立船橋高校での活動(4)

船橋高等学校のSSH課題研究の実施にあたり、メンター指導をすることになり、11月26日午後4時から5時半まで、町田武生、和田勝会員が第4回目の対面での助言・指導を行いました。

今年度、個別の指導を行って来た2年生5名の実験研究については、9月の千葉大学高校生理科研究発表会で一段落となりましたが、学年末までさらに補足充実させたいとして、11月26日16時から17時まで、当該校生物実験室で、改めて生徒たちと個別の議論を行いました。

1名は欠席で、4名の研究の補充実験や課題の検討を行い、それぞれに必要なアドバイスと助言を行いました。それらの中で、2件の研究課題はわれわれメンターの研究範囲を超えるものであったため、1件は依拠論文の著者に連絡をとってアドバイスをもらい、今後の研究の展開を図ることとしました。また、もう1件も物質の測定・同定についてその分野の専門家に相談して打開策を生徒に伝えました。もう一件は、大豆の発芽がうまくいかないということで、改めて最初の段階を試して、結果をメールで伝えてくれるように頼みました。

今回、初めて高校SSHの課題研究のメンターを依頼されたものの、専門外の分野には十分に対応できないので、SSH側に今後の対応・善後策を考えるように申し入れたいと思います。

東村山第三中学校での活動

11月14日午後4時から5時半頃まで、坪村太郎会員が「酸化と還元に関わる実験」という内容で、自然探求部の実験活動の指導を行いました。参加者は1、2年生21名で、6班に分かれて実験を行いました。また自然探究部顧問の福島恵美教諭と副顧問の入江翔太教諭にもお手伝い頂きました。

当日の内容は、
 ●実験A うがい薬とビタミンCなどの反応
 ●実験B うがい薬とデンプンの反応
 ●実験C 電気分解によるうがい薬の再生
としました。
実験AとBは実際に生徒さんにやってもらい、Cは坪村が行った演示実験を大画面のモニターに映して見て見てもらいました。

まず、中学校の理科では、酸素と結びつくことを酸化、その反対で酸素をうばうことを還元と習うこと、さらにビタミンCが酸化を防止、つまり他の物質を還元させる性質があるので、酸化防止剤として食品や飲料に入っていることを説明しました。その後、実際の実験となりました。

●実験Aでは、試験管に水を入れ、そこに市販のうがい薬(ヨウ素の入った褐色のもの)を1滴入れて薄い褐色の溶液を作ります。そこに健康食品として売られているビタミンC製剤顆粒を数粒入れると、色が一瞬で消えることを確認しました。さらにこの試験管に過酸化水素水溶液と希硫酸を加えると、しばらくしてまた元の褐色に戻ることも確かめました。また、ビタミンCの代わりに、果物(キウイとミカンと柿のいずれか)を少量入れると、やはり無色になることや、ブドウ糖を加えた場合も(多少加熱する必要がありますが)うがい薬の色が薄くなることを確認しました。

●実験Bでは、まず2本の試験管に熱湯を入れて、両方にデンプン(片栗粉)を少量入れて溶かします。そのうち1本にはそのままうがい薬を1滴入れ、もう1本にはだ液を少し入れてから、うがい薬を1滴入れて比較しました。最初の試験管では、デンプンを入れたことで溶液が青~濃い青紫に変化しましたが、もう一方の、だ液を入れた方の試験管では、うがい薬を入れると無色の溶液となりました。この実験では、残念ながら2本の試験管で違いが見られなかった班もありましたが。

上の動画の後半(ベネジクト液の部分)は無視してください。

●実験Cでは、実験の様子をカメラで写し、それを大きなモニタに映して皆で見守りました(下の写真)。ガラス容器に硫酸ナトリウム水溶液を入れ、うがい薬を入れます。そこにビタミンCを色がちょうど消えるまで加えて、2本の電極を立てて電流を流し、電気分解を行いました。すぐに両方の電極から(水の電気分解による)泡が出てきますが、5分程度すると陽極の回りの溶液が黄色く変色していくのが分かりました。黄色い部分の溶液を採取し、デンプンに滴下すると青く変色し、ヨウ素が生成していることが確認できました。

実験後、説明の時間となり、実験Aからはうがい薬の色変化はヨウ素がヨウ化物イオンに還元されたことによること、果物にはビタミンCが入っていること、ブドウ糖も還元の作用があることを説明しました。実験Bでは、うがい薬中のヨウ素がデンプンと結びついて青くなること、だ液を入れるとデンプンが分解されて麦芽糖になるので青くはならず、ヨウ素は還元されるので無色になることが分かりました。実験Cでは、電気の流れ、すなわち電子の流れによって、酸化の作用が起こっていること、つまり酸化還元反応は電子の流れと関係しているということを説明しました。このことは中学では習いませんが、高校の化学では勉強するということもお話ししました。

最後に質問タイムとなり、ビタミンCによる色の変化はすぐだったのに、過酸化水素で元に戻すのはなぜ時間がかかったのかという鋭い質問もなされ、反応の速さは速いものと遅いものがあるという回答をしました。福島先生からは、例えば鉄がさびるのは非常に時間がかかるよねというフォローも頂きました。楽しく無事に実験を終えることができたと思います。

注:上の動画はYouTubeからのもので、参考のために載せています。この通りの実験を行ったわけではありません。

千葉県立佐原高等学校での活動

10月9日午後2時から3時40分まで、小林憲正会員が千葉県立佐原高等学校の1、2年生の理数科生徒72名に対して行われる理数科講演会の講師を務めました。佐原高校では、1年生は生物・化学、地学基礎,2年生は化学、物理を履修するため,これらの科目を横断するテーマとして「化学で探る生命の起源と地球外生命」というタイトルで講演を行いました。

約1時間半の講演を前半と後半に分け、前半は「生命の起源や太陽系についてわかったこと」、後半では「生命の起源や地球外生命について,わかっていないこと」としました。

特に強調したのは、今回の講演テーマが理科のさまざまな分野にまたがっていること、また、まだわかっていないことが多く、今後10〜20年で惑星探査がさらに進むことにより、新たな知見が多く得られる可能性があることを述べました。

講演の時間が限られていたため、質問があればメール等で受け付けることとしました。

その後、3件の質問があり、それぞれに小林会員から丁寧な解答を送っています。ここにそれらを載せておきます。
質問1 地球外生命の発見のために地球環境に似た環境を有した星(水がある星など)を中心に研究が進められていましたが、地球環境に似ていない星に地球外生命が確認できる可能性はどれほど考慮しているのでしょうか?(水や炭素が必要なく、ホルムアミドやケイ素を使用する生物の可能性)
回答1 水は,宇宙では非常にありふれた(豊富な)ものですので、それを溶媒に使う生物が多いように思います。ただし,それ以外のケースも想定はしておく必要はあります。太陽系の中でも土星の衛星のタイタンは表面に液体メタンの湖が確認されており、それを溶媒に用いる形態の生命の可能性は議論されています。タイタンでは、他に地下にアンモニア水、金星上空では硫酸を多く含む水が液体で存在しますので、そのようなものを溶媒に使うことは十分に考えられます。他ですと、ご指摘のホルムアミドの他、液体窒素、シアン化水素、硫化水素、フッ化水素なども、それらが濃集しているような環境があれば、候補になります。 一方、炭素も、宇宙できわめて豊富に存在しており、なおかつ、複雑な有機物を作れますので、「地球型」の生命には不可欠です。周期表の炭素の下のケイ素も手が4本あるので、巨大な分子を構成できるのですが、ケイ素は炭素と較べるとしなやかさに欠けるので、機能的には炭素生物の方が優れているのでは、と想像されます。ただ、生命の定義をどうするかによって、例えば粘土鉱物が最初の生命(機能をもつ物質)だったとする説もあり、また、人間がケイ素でAIをつくったように、高等生物がケイ素を人工的に使って新たな生命形態をつくった可能性は考慮していいでしょう。

質問2 宇宙人はいますか?
回答2 地球以外の環境で誕生・進化した生物は微生物も高等生物もまだ確認されていませんので、はっきりと「いる」証拠はありません。しかし、観測可能な宇宙に10の23乗個の恒星があり、その多くが惑星を持っていることがわかってきました。それだけ多くの「世界」があれば、たとえ生命が誕生する可能性が低くても、かなりの数の惑星に生命が誕生し、その一部では生物進化の末、知性をもった「宇宙人」にまで進化していると推定する方が、地球以外には全くいないと断定するよりもずっと可能性が高いように思います。宇宙人までいかない、「宇宙生命」ですと、今世紀中に太陽系の中でみつかる可能性があるのでは、と期待しています。「宇宙人」に関しては,彼らが発している人工的な電波がないかを探している「SETI」という取組が行われています。

質問3 先日、ノーベル生理学医学賞で、「マイクロRNAとその転写後遺伝子制御の仕組みの発見」と言うことで賞を受賞されていましたがマイクロRNAと生命の起源というのはどのような関わりがあるのでしょうか。
回答3 マイクロRNAがみつかっているのは、多細胞の生物のみで、動物では左右対称性や前後の区別などに関連した働きをしているようです。その意味では動物細胞内のマイクロRNAは生命の起原とは直接関係がないと考えられます。しかし、地球生命誕生時にRNAが重要な働きをしたとするRNAワールド説を取るならば、現在のメッセンジャーRNAのようなRNAがいきなりできたのではなく、もっと小さいマイクロRNAのようなものが最初にできたはずと考えるならば、現存のマイクロRNAと似たRNAが生命誕生の前後に重要名働きをした可能性は考えられます。

千葉県立船橋高等学校での活動(3)

船橋高等学校のSSH課題研究の実施にあたり、メンター指導をすることになり、10月8日午後2時から3時半まで、町田武生、和田勝会員が第3回目の対面での助言・指導を行いました。

9月28日に千葉大学高校生理科研究発表会で発表したものを、今回は校内向けに行う発表会で、物理、化学、生物、地学、数学分野の35件が、それぞれの教室に分かれて行われました。我々は生物の10件の発表が行われた場所に赴き、それぞれの発表を聞き、さらに実験を進めるための助言等を行いました。

前回、助言を行ったのは5件だったので、それ以外に5件あったことになりますが、9月10日のときにどうして参加しなかったのか尋ねたら、申し込みが必要でそれを忘れたからだという答えでした。その5件の研究課題は、「竹やコーヒーかす由来のセルロースによるバイオエタノール生成の検討」、「グレープフルーツの皮の厚さとナリンギンの含有量との関係」、「メダカの餌を知覚するときの視覚と嗅覚の優先度」、「海水中の微生物がアサリの水質浄化機能に及ぼす影響について」、「カイワレ大根に対する酢の最適な調整方法」というタイトルの研究発表でした。前回の報告で記した5件に加えた10件の発表のタイトルを見ると、いろいろな分野のものがあり、生徒は自分の興味に従ってテーマを選び、実験を進めているのだろうなと思いました。

10件のポスター発表を聞きましたが、実験の進捗状況に差があり、まだ予備実験段階のものもあったし、ほぼ完成段階のものもありました。それぞれの研究の進捗状況に合わせて、助言を行いました。

千葉大での発表会では、私どもが指導した5件の中から1件が県高校学校校長協会会長賞を、また、もう1件も優秀ポスター賞を得たとのことで、指導助言の成果があったのだと、うれしい思いでした。

千葉県立船橋高等学校での活動(2)

船橋高等学校のSSH課題研究の実施にあたり、メンター指導をすることになり、9月10日午後4時から5時半まで、町田武生、和田勝会員が第2回目の対面での助言・指導を行いました。

生物分野の研究計画は5件で、前回(7月9日)に相談したときは「鳥の部位による羽根の撥水性の違い」「砂漠における高吸水性樹脂の利用と大豆の育ちの関係」「陸上高等植物由来のアレロケミカルを用いたアオコ原因藻類の防除」「室内アクアリウムに生息する淡水珪藻の同定と珪藻種ごとの脂質含有率の比較」「ショウジョウバエの番の一貫性」でしたが、今回、直前に送られてきたPDFファイルは、既にポスターの形となったもので、タイトルは微妙に変わっているものがありました。2番目は、「砂漠での高吸水性樹脂の使用方法による大豆の発芽への影響」、3番目は「植物由来のアレロケミカルによるアナベナへの増殖抑制効果ーアオコから生態系を守ろうー」、4番目は「室内アクアリウムに生息する藻類の脂質生産能力の比較実験」、5番目は「未交尾のショウジョウバエのペアが死んでしまうのはなぜか」でした。実験をさらに進めた結果、よりふさわしいタイトルに変更したものと思われます。

5件とも、9月28日に千葉大学高校生理科研究発表会で発表を行うということで、当日は2人が手分けをして、前回相談に乗った同じ生徒と対面でポスターの中身を見ながら、今後の研究の進め方、発表の仕方などについて指導、助言をおこないました。

この発表でのポスターの最終版を提出前にオンラインで見せてもらうこととしました。研究結果はさらにいくつかの発表会やコンテストでも発表するとのことで、10月に改めて指導助言を行う予定です。1回目と2回目の間に、もう少し相談のやり取りがあると思ったのですが、それがなくちょっと心残りでした。

八王子市立中学校PTA連合会との打ち合わせ

8月31日の午前10時から1時間ほど、有山正孝、伊藤真人、奥田治之、進藤哲央、西原寛、町田武生、和田勝会員が、八王子PTA連合会の廣田貴子会長、荒木美奈、相川睦美、岩崎朋子さんと、Webで会議を行いました。

前半は、11月30日に行われる科学コンクールの発表会に関してで、後半は先日行われた生徒との相談会の反省会を行いました。

まだ、各中学校から作品を集めたところで、これから先生方が審査を行うということで、11月30日の大まかな概要についての相談でした。なるべく受賞者の発表の概要がわかる資料が事前に欲しいという要望をしました。また、昨年度、奨励賞の発表のポスターセッションのときに、各ポスターの前にイスが並べられ、そこに座って聴くという形をとったけれど、やはりポスターセッションでは、ポスターの前に立ち並んで演者とやり取りをする方がいいという意見が出ました。そのように考えるということでした。そのほか、副賞の話が出ました。

8月8日の相談会は、参加者が少なくて拍子抜けをしたという感想を率直に伝えまました。八王子市のすべての中学校に相談会のことを伝えているわけではなく、第3ブロックだけであったとのことでした。各中学校の理科の先生も巻き込んで、事前に、こんな風にやってもらいたいといった要望や質問、また、こんなことやってもらったら困る等も遠慮なくいってもらえればと話し、SSISSについて十分に理解していただいていないかもしれないけれど、理科に関して子供たちを支援していきたいという気持ちで活動しているので、それが先生方にうまく伝わるといいという話をしました。

中P連側からは、働き方改革もあり、理科の先生がなかなか時間が取れないことなどもあるので、科学コンクール当日の空いた時間に、受賞された生徒さんの学校の理科の先生に直接聞いてみたりするのがいいのではと思うので、そのようなことを検討してみたいということでした。

川口市立安行小学校での活動

8月27日と28日に、佐々田博之会員が埼玉県川口市立安行小学校で、6年の4クラスに対して実験授業を行いました。受講した児童数は35名から40名で、1クラスあたり2校時(2 x 45分)を使いました。東京都市大学非常勤講師である西川浩之さんと手束文子さんに手伝ってもらいました。

授業のテーマは「光の進み方」です。光が直進することは3年生で学んでいるので、授業では少し先を行き、中学で扱う屈折と反射を取り上げました。最初に注意事項などを説明、レーザーポインターは人に向けると危険なので、大人が操作すると言いました。

1班4~5人に分かれ、まずは水槽の真水の下に、濃い砂糖水をロートにつないだ管を使って静かに注ぎ入れて、光の速度が異なる二重層を作りました。

LEDとレーザーポインターの光を界面に入射し、屈折、反射、全反射する光路を観測しました。

光速が異なる媒質の界面では、光路が曲がることを観察します。逃げ水、蜃気楼、浅く見える川の底などの現象は、こうした光の進み方の性質によることを説明しました。その後、光ファイバーについて説明をしました。

最後に、水で膨潤した玉とビー玉を水に入れ、ビー玉の個数を当てさせました。前者は光速が水と近いため水中では見えず、水から出すとたくさん玉が入っているのがわかり、児童達は驚いていました。

実験の後で、実験中にもらったいろいろな質問に答えました。

すべての児童がパソコンを携行していて、ブラインドタッチで入力しています。質問や解ったことなど即座に入力し、こちらにすぐ伝わるため、挙手指名などせずにすぐに答えることができます。手を挙げるのを恥ずかしがる子が多い高学年では有効です。3枚目の写真にあるように、実験での光路もタブレットで撮影し、画像を班員で共有しています。時代は変わっているのでこちらもfollowしていかないといけないと思いました。

立教池袋中学校・高等学校での活動

8月24日(土)の午後に、伊藤眞人、黒田智明、小林憲正、佐々田博之、坪村太郎、西原 寬、町田武生、箕浦真生会員が、立教池袋中学校・高等学校で行われた科学部研究発表会に参加して、コメント・助言などを行いました。

13時から15時まで2階大会議室で開催された発表会には、生徒の他に、教員、生徒の保護者、立教大学のアドバイザーである和田教授なども参加していました。

最初に科学部の顧問である後藤教諭の開会のあいさつがあり、生徒たちの司会・進行で始まりました。開始、発表終了、演題終了のチンもすべて生徒たちの運営です。

中学生の発表が5件、高校生の発表が4件、計9件の個人または3名による発表があり、それぞれ7分のパワーポイントを用いた発表時間の後に、3分の質疑応答が行われました。

発表された研究のタイトルは、「光る人工イクラ」、「ビスマスの骸晶の作成」、「電子コイルの巻き数と回転数の関係」、「食用油を用いた石鹸の作成」、「パルスジェットの装置の設計」、「塩をくわえたときのスライムの粘性の変化」、「炭で吸着」、「色素増感太陽電池における臭素電解液の利用」、「鉄光触媒の可能性(これだけ発表時間が12分)」でした。下の写真は、最初の「光る人工イクラ」と3番目の「電子コイルの巻き数と回転数の関係」と6番目の「塩を加えたときのスライムの粘性の変化」の発表風景です。

質疑応答の時間には活発なディスカッションがあり、SSISS会員からも多くの質問やコメントが出されました。着眼点の良いオリジナルな研究テーマが多く、実験条件を振って集めた結果から考察を行い、結論を導こうとする科学的な方法が良く取り入れられていました。

最後に、科学部顧問の後藤教諭が閉会式を進行され、SSISS(西原会員)、立教アドバイザー(和田教授)、科学部顧問(加藤教授)、副顧問(吉井教諭)から講評と生徒へのメッセージが述べられ、生徒代表のあいさつがあり、研究発表会を終了しました。翌日(8月25日)から科学部合宿があり、報告会での質疑応答を踏まえて、今後の研究を展開するとのことでした。これからの研究の発展・展開が期待されると感じました。