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霜田光一会員による演示実験とお話しの会

5月21日(土)、総会の終了後の3時から、霜田光一会員による演示実験とお話の会がおこなわれました。タイトルは「連成振動の実験-量子光学、自発的対象の破れー」というものでした。

霜田光一会員については別なページで紹介してあるのでそちらを参照してください。また、この日の講演のレジメもそのページに載せてあります。
20160521-05さて実験が始まりました。金属製のドアノブに鉛を入れて重くしたものを2つ、それぞれ同じ長さのV字型のバネで吊るして、バネの途中を輪ゴムで結んであります。
20160521-0620160521-07まず向かって右の銀色の重りを前後に振動さます。振幅が小さくなるにつれて、左の金色の重りが振動を始め、銀色の重りの振幅がなくなるころには金色の重りの振幅が最大になります。今度は金色の振幅が小さくなるにつれて、元の銀色の振幅が再び大きくなり、以下これを繰り返します。これを連成振動といいます。

2つの重りを同時に振ると、対称性の固有振動となり、反対向きに振ると非対称性の固有振動になります。これらは連成振動とは異なるものです。

具体的な例としてアンモニア分子をとりあげて、エネルギー順位などの話をされましたが、筆者(広報担当理事)はついていけなくなりました。講演の模様は下記のリンクのYouTubeで見ることができますので、そちらをご覧になってください。

霜田光一会員講演前半

上の連成振動は、2つの同等の振り子を2つ、並列にした場合だが、異種の振動を結合しても連成振動が起こるとのこと。その例としてバネと長方形の板をつないで、バネが上下に振動し、板が回転するようにしたものを取り出して実演し、バネの上下の振動と板の回転運動が連成振動を起こすことを示されました。

最後にピアノ線を巻いて作ったバネに重りをつけて、それを紐でつるして前後左右に振れるようにしたものを取り出しました。これを支持台から吊るして、バネを上下に振動させながら振り子運動をさせると、この二つの間で連成運動がおこります。つまりバネが上下に振動しながら振り子運動をし、両者の間で連成運動がおこります。
20160521-08振り子が大きく振れる時にはバネの上下運動が小さくなり、バネの上下運動が大きくなるにつれ振子運動は小さくなり、それを繰り返します。ここで最初の実験と異なるのは、バネの上下運動が小さくなって止まり、次の振り子運動が始まるのですが、その振動面が毎回異なり、どの面で振れるかランダムだということです。これが自発的対称性の破れです。

これに続き原子の1p軌道や2s軌道との関係と、話が続くのですが、またまた筆者はついていけなくなりました。後半の講演の模様は次のYouTubeでご覧ください。

霜田光一会員講演後半

実験に使ったバネや重り(ドアノブ)などはすべて霜田先生のお手製です。最後の実験では紐の長さを調節して共鳴するようにしているのですが、0.1%の精度が必要だということでした。

この演示実験とお話の会は公開としたので、立教高校の生徒さんなどが聞きに来てくれました。終わった後、熱心に霜田先生に質問をしていました。
20160521-09自発的対称性の破れというのは量子力学の世界の話だと思っていた筆者には、振り子やバネの振動運動を利用して目に見える形で提示する今回の実験は、新鮮な驚きでした。うーん、もっと理解できるようにしなければと思いました。

この後、霜田光一先生を囲んで近くの飲み屋さんで懇親会を行いました。あ、もちろん生徒さんたちは参加しませんよ、大人たちだけでです。

総会が無事、終了しました

報告が遅れましたが、5月21日(土)に池袋立教中学校・高等学校で平成28年度の定例総会が開催され、無事終了しました。
20160521-01有山正孝庶務担当理事の開会の宣言の後、出席者と委任状等提出者数から総会は成立しているという宣言があり、続いて大井みさほ理事長から挨拶がありました。
20160521-0220160521-03議長の選出が行われ、大井みさほ理事長が議長を務めることになり、以降は議長が議事進行をつかさどり、議事は淡々と進められました。議事録署名人の選出が諮られ、奥田治之会員と霜田光一会員が選出されました。

続いて第1号議案として、平成27年度事業報告ならびに収支決算報告に移り、庶務担当理事から前年度のSSISSの行った事業とそれに伴う収支決算案が、資料に基づき説明されました。平成27年度は10回の理事会と4回の運営委員会が開催されたことと、SSISS本来の支援事業についての説明がありました。昨年度も最近の傾向と同じく、学校への支援授業よりも課外活動への支援が多かったということでした。

奥田浩之監事から監査報告があり、会場の意見を徴したのちに、平成27年度の事業報告と決算案は可決承認されました。
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続いて第2号議題に移り、平成28年度の事業計画と収支予算案について庶務担当理事から資料に基づき提案がなされました。今年度から賛助会員数の減少から収入が減ったこと、前年度に完了しなかった10周年記念活動案内のパンフレットの印刷費を、今年度の支出に繰り越したこと、などのために支出を見直したことなどの説明がありました。その後、会場の意見を徴したのちに採決され、平成28年度の活動計画書と予算案は可決承認されました。

その後、自由な意見交換が行われ、石川和枝会委員からオランダで物理実験をデザインした切手が昨年に5枚セットで発売されたが、このような働きかけをして理科の振興を図るのも一案ではないかという意見が述べられました。

その後、若干の意見の交換を行って、2時37分に総会は閉幕しました。

総会議事要旨をここに載せておきます。

総会案内の発送作業を行いました

5月13日(金)に、有山正孝、大井みさほ、野津憲治、和田勝会員が、東京理科大の、とある部屋で、5月21日(土)に開催される総会案内の発送作業を行いました。

まず返信用封筒へ切手を貼り、総会招集の通知に理事長印を捺印します。

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送付する資料は、捺印した総会招集通知のセット(平成27年度事業報告と決算、平成28年度事業計画と予算の書類)、出席票(兼議決権行使・委任状)、総会後に行われる霜田光一会員による「演示実験とお話の会」と懇親会の案内、返信用封筒を並べて、袋詰めです。

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今回は、刷り上がったばかりの活動案内(10周年記念号)と、会費納入のお願い文書・納入のための払込取扱票も同封して、盛りだくさんになりました。

会員の方は、お受け取りになったら同封の返信用封筒で、出席票(兼議決権行使・委任状)を可及的速やかに投函してくださるよう願いいたします。

また総会後に行われます霜田光一会員による演示実験とお話の会の詳細につきましては、ここをご覧ください

 

霜田光一会員による「演示実験とお話の会」

来る5月21日にSSISSの総会が開かれますが、総会の後に下記の要領で公開の「演示実験とお話の会」が開かれます。

日時:平成28年5月21日(土)午後3時から4時
場所:池袋立教中学校・高等学校 4階地学実験室
講師:霜田光一(東京大学名誉教授)
タイトル:
「連成振動の実験-量子光学、自発的対称性の破れー」

振り子の振動が、量子光学さらには自発的対称性の破れと、どうつながるのか、とても興味深いですね。アブストラクトは、こう始まります。

1.連成振動と固有振動
長さの等しい2つの振り子を結合した連成振り子の固有振動は、連成振動とは異なる。
連成振動では、一方の振り子の振動が大きくなったり小さくなったり、他方の振り子の振動が小さくなったり大きくなったりする。
固有振動の振幅はA(x,y,x,t)=ψ(x,y,z)・exp(iωt)と表され、空間分布は不変で、固有関数はψ(x,y,z)、時間的には角周波数ωで振動する。
固有エネルギーはE=hω/2πで、固有関数には対称モードと反対称モードがある(以下略)。全文はここShimodaResumeからダウンロードできます。

霜田光一会員のことを簡単に紹介します。霜田光一会員は1920年に埼玉県で生まれ、東京帝国大学理学部卒業、1948年東京大学理学部助教授、1959年同教授、この間、理化学研究所マイクロ波物理学主任研究員兼任され、1981年同大学を定年で退職された後は、慶応義塾大学などを歴任されています。

http://www.s.u-tokyo.ac.jp/ja/awards/2009/01.htmlより

霜田光一氏の研究は戦時中のマイクロ波レーダーに始まり、それが戦後にマイクロ波分光につながり、この分野での研究をリードしてきました。また、レーザー分光とレーザー周波数標準を研究し、国際単位メートルの再定義に貢献しました。これらの功績により、日本学士院賞(昭和55年)を受賞し、文化功労者(平成20年)に選ばれています。

なぜ物理に興味を持ったか、研究の歩みなどについては、以下のWebPageの対談で述べられています。

応用物理創刊75周年記念特集記事
https://www.jsap.or.jp/apsp/oralhistory/QOBU070804.pdf

また、物理学教育にも関心が高く、日本物理教育学会の会長を長く務められました。今でも新しいアイデアで次々に実験方法を開発しています。今回もその一つを演示していただけるものと思います。

物理の教育については、以下のページで述べられています。

「これからの時代は光学やエレクトロニクス中心の物理教育であるべきではないでしょうか。」Opulse掲載より
https://www.adcom-media.co.jp/remark/2011/02/07/2044/

どうぞご来場ください。

会員へのお知らせ

風薫る5月となりました。会員各位におかれましては、気持ちの良い季節を楽しんでおられることと推察いたします。

さて、新しい年度が4月から始まって1か月が過ぎました。昨年度の決算及び今年度の活動方針と予算を決める定例の総会を、下記のとおり開催いたします。ご参加くださるようお願いいたします。

日時:2016年5月21日(土)午後2時から3時
場所:立教池袋中学校・高等学校 地学実験室(4階)

詳しい開催案内及び資料は追って郵送いたします。万が一ご参加できない場合は、後日お送りする開催通知および議案書に同封の書面により、委任状を提出するか、議決権を行使してください総会はSSISSの意思決定会議であり、定款により定足数がありますので、お忘れにならないようにお願いいたします。

総会の後に、霜田光一会員による公開演示実験とお話しの会が行われます。タイトルは「連成振動の実験 ―量子光学、自発的対称性の破れ-」という魅力的なものです。どんな実験が行われるか楽しみですね(A4アブストラクトを用意しています)。

さらにこの後には、懇親会を開催します。といっても大げさなものではなく、近くの飲み屋さんで、楽しくワイワイと懇親を深める予定になっています。

というわけで総会にはぜひご参加ください。

新年度始まる

SSISSの活動も4月を迎え、新年度になりました。さっそく4月13日に理事会が開催され、昨年度の決算が行われました。また5月21日に総会が開かれる予定なので、その準備に入りました。

昨年度はいろいろとありました。心機一転、今年度はより良い活動が行えるように頑張っていきたいと思っています。会員の皆様のご協力をお願いいたします。会員をもっともっと増やしましょう!

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パッと咲いて散るのではなく、息長く、、(写真は千鳥ヶ淵)。

狛江市教育委員会での打ち合わせ

有山正孝、大井みさほ、和田勝会員が、4月11日の午後に狛江市教育委員会を訪ね、教育部指導室の細谷俊太郎さん、柏原聖子さん、坂本尚剛さんと面会し、平成28年度に狛江市が行う理科授業特別プログラムについて話を聞きました。これが今年度の初めての活動になります。

狛江市には中学校が4校、小学校が6校あり、そこで通常の授業では実施が難しい内容の理科の授業で、生徒が「おもしろい!」、「そうなんだ!」と感じ、現代の科学・技術とのつながりがわかるようなものを実現してほしいという要望でした。

狛江市の要望、SSISSの事情などを交え、今後の進め方についていろいろと意見を交換し、対応するよう理事会に諮ることで話を終えました。下の写真は会談を終え、階段下でのぶら下がりの記者会見に臨む代表団です(嘘です)。

20160411

4月13日の理事会で、狛江市の事業を引き受けることが了承されました。今後は、各校からどのような要望が来るかに応じて、柔軟に対応する予定です。

SSH市川学園での活動

廣田穣、町田武生、和田勝会員が、3月12日の午後に市川学園高等学校で行われたスーパーサイエンスハイスクール年度末課題研究発表会に参加しました。(市川学園のページより)

課題発表会は開会式から始まり、続いてパワーポイントによる口頭発表が、物理、化学、生物、数学の分野から各1題ずつありました。各発表の後には、SSH指定高校の先生や父兄、アドバイザーなどから質問が飛び、一生懸命応えていました。

その後のポスターセッションでは、数学10、物理54、化学29、生物25(含む口頭発表)のポスターが掲示されました。ポスターの前では、聞き役の生徒や参加者に対して、研究を行った生徒が説明し、熱心に討議が行われていました。我々SSISの会員も、それぞれの得意分野のポスターの前で説明を聞き、コメントやサジェスチョンを行いました。

この項の筆者は生物が専門なので、生物のカテゴリーのポスターを聞きましたが、力作が多く、データの扱いなども一段と良くなっていると感じました。発表者も聞き手の生徒も2年生ですが、研究を始めたのは2年になってからということで、課題の探索と設定、その後の実際の研究、まとめと発表を、短い時間の中で行うのはかなり大変だったろうと思います。

自分の行った「研究」を「面白い」と感じて、さらに発展させる方策を考え続け、その感覚を持続させて、それぞれの分野で伸びていってほしいと思いました。

ちなみに、この日の午前中には、「SSH高校生が教える理科・算数小学生体験講座」と題して、近隣の小学校児童に対して体験講座が行われています。生徒たちが教えることにより、さらに深く学ぶことができる良い試みだとおもいます。

「SSH高校生が教える理科・算数小学生体験講座」へのリンク

杉並区立高円寺中学校での活動

大井みさほ会員が、2月13日の午前に杉並区立高円寺中学校で、2年生の生徒を対象に、理科特別授業を行いました。

「上皿てんびんの実験」と題して、

①上皿てんびんを使って、1円、5円、10円コインの重さを測定を行いました。数値がばらついている5円硬貨の重さの測定精度を上げるためには、どうしたらよいか議論をして、議論の結果をもとに、10枚ずつ量って平均値を求める実験をさらに行いました。そして、真の値とは何かの議論をしました。

上皿天秤

②測定の誤差についてのお話をして、系統誤差と偶然誤差の説明をおこないました。系統誤差をなくすことと、偶然誤差はなくせないことの話をしました。さらに、データが多いと、偶然誤差はガウス分布(正規分布)になることを説明しました。

正規分布

(注)系統誤差と偶然誤差の説明(別ページにリンク

③食パンの重さの測定の結果とグラフでの表示について説明をしました。

④パンの重さのガウス分布から、科学者が商人の不正を見やぶる話と、水銀原子のランプの水銀のスペクトル線の広がりがドップラー効果によるもので、ガウス分布となる自分の経験の話をしました。

難しい話もかなりあったのですが、生徒はわりによく反応し、楽しんだいたように見受けられました。

板橋区立板橋第二中学校での活動

清水忠雄会員と大井みさほ会員が、2月4日に板橋区立板橋第二中学校で開催された、板橋区立中学校教職員教育発表会の中の理科部会の研究発表に参加して、コメント、助言を行いました。

清水会員は、今年度(2015年11月9日付の活動報告を参照してください)に中台中学校の星野教諭が行なった研究授業に参加しており、この授業について、その時に十分に伝えられなかった発表について意見を述べました。また、将来、生徒たちを受け入れる立場にある大学側からみた、初等中等教育への要望について、簡単にコメントしました。

大井会員は、板橋五中の佐藤教諭の自由研究の指導にも触れ、児童に興味・関心をもたせる方策について、具体的な事例も踏まえて意見を述べました。そのための本を読むことの大切さについても、意見を述べました。

readingbooks

SSISSは板橋区の理科部会の研究会に、今年度は3回参加しており、そのときのSSISSの活動がSSISSのオフィシャルサイトに掲載されていますが、そこからプリントアウトしたものが、参加者に配られていました(どんな活動だったかは、左カラムの検索欄に「板橋」と入れてリターンキーを押すと表示されます)。