「活動記録」カテゴリーアーカイブ

狛江市立第六小学校での活動

二宮洸三会員が、10月4日の午前に狛江市立第六小学校で、5年生3クラスの児童を対象に、「楽しい気象の変化」というタイトルで、理科の授業を行いました。

授業の流れは以下のようで、狛江市立第三小学校で行った授業の内容と大体同じです(9月15日掲載の活動記録を参照してください)。

1)理科学習の目的
2)気象の変化のとらえ方
3)日射の日変化と気象の日変化
4)気象の年変化・季節変化
5)低気圧の通過に伴う気象の変化
6)地球誕生以後の気候変化と近年の環境変化

今回は、7)として「目で観察できる気象現象(雲、虹、電光、雪結晶、植物の季節変化など」の項により多くの時間を割いて、美しい気象現象を見せることにしました。

雲は、高さと形によって10種類の分類されています。たとえば、上層に発生する雲には、巻雲(cirrus)、巻積雲(cirrocumulus)、巻層雲(cirrostratus)があります。横文字はラテン語由来の英語です。
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巻雲は日常語では「すじ雲」と呼びます。
cirrusclouds-georgia-oct1st写真はWikipediaより

巻積雲は「いわし雲」とか「うろこ雲」とか言います。
enjugahama_sea_and_sky_961104_img383写真はWikipediaより(撮影:唐山健志郎氏)

巻層雲は「うす雲」です。

10種類の残りの7つは、中層雲の高積雲、高層雲、乱層雲、下層雲の層積雲、層雲、対流運の積雲、積乱雲です。これら10種が類で、その下に種があり、さらにその下に変種があります。

こう見てくると、生物の分類体系に似ていますね。西洋的な、何かを分類して整理しようという思想は共通しているのでしょうね。

実際の授業ではこんなことを話したわけではなく、美しい雲の写真を見せました。次に虹、それから雪の結晶です。雪の結晶の研究の歴史は長く、たくさんの研究がありますが、中谷宇吉郎の名前をすぐに思い出しますね。ほかにも多くの日本の研究者が貢献しています。
20160906-10雪の結晶はなぜ六角形なのか、どうしてこのような形ができるのかなど、興味深いことがたくさんあります。こうしたちょっとしたことやものに感動して、いろいろと考えてみてくださいね。

狛江市立第三小学校での活動(3)

日江井榮二郎会員が、9月21日の午前に狛江市立第三小学校で、6年生2クラスの児童を対象に、「太陽の活動」と「自分の星を見つけよう」というタイトルで、理科の特別授業を行いました。

広い多目的室でプロジェクターや仕掛けを使った立体的な授業で、校長先生、副校長先生、担任の先生方、それに何人かの父兄の方々も聴講していました。

今回は6年生2クラスが一緒に2コマ連続で行い、国立天文台の太陽観測所の研究員である萩野正興氏が日江井会員のお手伝いとして参加されました。
国立天文台太陽観測所のページへのリンク

授業の前に教室に入ると、準備に余念がありません。多目的室の一方の壁際に並べた机の上には、直径2メートルもある大きな白い風船がおかれているのが目を引きます。どうやら白い風船はスクリーンになっているようです。
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廊下を通る児童も、これから何が起こるのだろうかと興味津々で、覗きながら通り過ぎていきます。
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6年生が教室に入ってきて座ります。日江井会員は何人かの児童に赤い細紐を渡して、教室の端から端まで張り渡すように頼んでいます。これはいったい何でしょうか。
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担任の先生から紹介されて、まずはごあいさつ。あれ、日江井会員ともう一人は白髪白髭の人が、、。どこから来たのかしら。胸には「フレア博士」という名札をつけています。

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そのフレア博士がトップバッターで、太陽のお話です。この教室は宇宙船で、みんなそれに乗って太陽の近くまで飛んでいこう、さあカウントダウン、スリー、ツー、ワン、発射ということで、目玉マークが写っていた大きな白い風船は、太陽に早変わりをします。
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太陽の表面(正しくは光球の表面)を、黒点がいくつも左から右(東から西)へ太陽の自転で移動していきます。そもそも太陽の大きさは地球のほぼ110倍で、このくらいの地球が(と小さな球を出して)横に110個並ぶことになります。だからこの黒点の大きさも随分と大きいことがわかりますね。

どの黒点にも、黒い部分と白い部分が見えますが、黒がS極、白がN極を表しています。太陽の表面に磁石があるんですねー。この黒点、11年周期で増減を繰り返しているんですって。太陽の表面温度はおよそ6000度、黒点は4000度なので、黒く見えるそうです。
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太陽は、地球のように固い構造ではなくプラズマ状態で、それが太陽の回転によって渦を巻くことで電流が発生し、それに伴って磁力が発生するそうです。こうして発生した複数の磁力線が浮力で部分的に表面から浮き上がり、温度が下がるために黒く見えることになります。

太陽よりも少し上空部分(といっても2000km)を彩層と呼び、太陽表面よりも温度が高いプラズマ大気層となっています。ここで虹の色の覚え方「赤橙黄緑青藍紫」と言い、一緒に覚えようと皆で声を出して繰り返しました。筆者が昔憶えたときは「赤」の代わりに「紅」でした。

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Hα線観測による上の写真で、濃い筋になっている部分をフィラメント、白い部分をフレアと呼びます。フレア(博士の名前の由来です)は主として黒点付近で発生する爆発現象です。ここからがフレア博士の本領、発揮。

フレアはいわば「太陽のおなら」のようなもので、小さなプッもあれば、大きなブッもあると言って、音を出して(もちろん口でです)その違いを強調します。大きいと影響も大きく、人工衛星の機械が故障したり、送電線に過電流が流れたり、大きな影響の例ではカナダのケベック州で発電所に火災が起きたそうです。

そんな一方で、オーロラを発生させて目を楽しませてくれたりします。
20160921-10地球上の天気予報のように、太陽黒点やフレアの予報が宇宙天気予報として出されています。フレア博士は精度を上げるために研究をしているのだそうです。

フレア博士のお話しが終わり、児童から「なんで天文に興味を持ったのですか」と問われて、ハレーすい星が地球に接近したときにお父さんに長野に連れて言ってもらったのだけれど、お天気が悪く見えなかった、それが悔しくてこの道に入った、とおっしゃっていました。
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短い休みに続いて、日江井会員のお話です。最初にみんなに見せたのは、鉄隕石、アンモナイトと恐竜の骨の化石で、手で触って観察するように手渡して回覧してもらいます。
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続いて「蝉、人、星の一生、宇宙の広さ」とタイトルがあるスライドを見せます。バックは龍安寺の石庭です。蝉や人にも一生があるように、星にも一生があるのです。
20160921-14最初のほうに書いた赤い紐を先生方に持ってもらい、一番端にある名札を読んでもらいます。そこには「ビッグバン」と書かれています。赤い紐は13.8mの長さで、宇宙が誕生してから今までの時間の長さ138億年を表しています。

太陽・地球の誕生は半分よりももっと進んだ46億年前、生命の誕生は40億年前、恐竜が跋扈した後滅んだのは6500万年前、ヒトの出現はずっとずっと端のほうと、印したものを見せて、宇宙の誕生から今までの時の長さを示しました。
20160921-15この紐の長さだと、1000年は1cm、人の一生は長くても100年でわずか0.1µmなんですね。

星の一生と、カニ星雲、惑星状星雲などの写真を見た後、
20160921-1620160921-17恒星の輝きは核融合反応によるもので、さまざまな原子は星が創ったものであること、私たちの体の中の原子も、むかし宇宙で輝いていた原子がまわりまわってやってきたものなので、君たちも星の子であると話をすすめます。星にはいろいろな輝きがあるように、みんなもかけがえのない自分流に輝くことができるんだよ、強調します。
20160921-18不思議な絵を見せて、みんなにどんなように見えるかを答えてもらいました。
20160921-19いろいろな答えが出ました。これも自分流でいいということでしょうか。

質問の時間になると、銀河の膨張、ブラックホール、地球の将来などのさまざまな質問がありました。「宇宙人はいますか?」という質問に、フレア博士は即座に「います。私たちが宇宙人です。」と答えていました。

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6年生全自動を代表してお礼の言葉が述べられました。

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楽しい理科特別授業でした。

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狛江市立第三小学校での活動(2)

堀良通氏が、9月15日の午前に狛江市立第三小学校で、5年生2クラスの児童を対象に、「植物の形とはたらき」というテーマで、理科の実験授業を行いました。

教室に入ると、児童が事前に採集してあった植物を選んで自分の席に持ち帰って着席しているところでした。さあ授業の始まりです。

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最初のあいさつののち、先生は黒板に「かたち」と「はたらき」と書きました。20160915-3すべての生物には形があり、それぞれの形には働きがあります。形とはたらきは、難しい言葉で言うと「形態」と「機能」です。今日は、植物から形とはたらきについて学びましょう。そして形とはたらきの間には密接な関係があることを理解しましょう。

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植物の形は、動物と違ってとても単純です。たった3つのパーツだけからできています。何だかわかるかな。ハイ、ハイと手が上がります。そうだね、茎、葉、根です。花は葉が変形したものです。

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そのことを実感するために、机の上にある植物体をスケッチしましょう、と言って画用紙を配ります。さあ、スケッチタイムの始まりです。

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机の間を回り、スケッチしている植物の名前を聞かれると答えていきます。オヒシバ、メヒシバ、エノコログサなど、など。

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スケッチが終わったら、それぞれのパーツ(茎、葉、根)の形や色、はたらきについて、思ったことでもいいから、わかる範囲で配布された表に書き込んでまとめます。

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みんなスケッチ、うまいですね。
先生の作った見本の表を配布して、茎と葉と根の形とはたらきについて、児童とやり取りをしながら考えていきます。茎は植物体を支えて水や栄養を通す、葉は光合成、根は水を吸収して植物体を地面に固定する、、。みんなよく答えています。

単子葉植物と双子葉植物では葉の形が違いますが、根の張り方も違います。

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これは植物の進化の話になりますが、これはこれから先で学ぶことです、楽しみですね。生き物のを見るときは、今日のことを思い出して、形とはたらきのことをいつも考えてみましょう。きっと生物を見る眼が今まで違って、面白くなりますよ。

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今日はありがとうございました。

狛江市立第三小学校での活動

二宮洸三会員が、9月6日の午前に狛江市立第五小学校で、5年生2クラスの児童を対象に、「大気の変化・気象の変化」というタイトルで、理科の授業を行いました。

普通の教室ではなく、広い視聴覚室(?)でプロジェクターを使ってスライドを見ながらの授業でした。担任の先生に紹介されてごあいさつ。20160906-1気象に関しては、4年生で「天気の様子」として天気による一日の気温の変化を学習し、5年生では「天気の変化」として、雲と天気の変化を学習します。教科書をパラパラと繰りながら、そのことを確認し、今日は、ちょっと違った視点も加えて話を進めます、と述べて最初のスライドに。そこには、、

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●何のために理科(気象)を学ぶのですか?という問いかけに

○物事を深く考え、理解するトレーニングのため
○自然の調和の不思議と美しさを知るため
○自然を畏敬し、謙虚になるため
地球のすべての人・生物を大切に思うため
○環境問題・災害対応などの社会生活に必要な知識を学ぶため

●簡単に「一口の答え」を求めない!
未知のことが多いことを知る!
ただの物知りにならない!
自然の調和と美しさに感動し、深く考えよう

とありました。うーん、深いですね。

でもって次に、大気・気象の変化をどのように観測し、記録するか、観測者による変化のとらえ方には、固定した点で見る変化と移動しながら見る変化があること、その例として設置した気圧計や温度計による観測と、ラジオゾンデや気象衛星による観測があることを紹介。

動かぬ人の見る変化として、東京の一日の温度の変化と日射量の変化、一年の気温と降水量の変化、それと各地の動かぬ人の観測の結果として、シンガポール、台北、東京、イルクーツクと緯度の異なる地点での一年の気温の変化を例に、太陽と地球の位置関係によってこのような変化は生まれることが説明されました。
20160906-4気温が変化すれば、空気の密度も変化して気圧も変わる。気圧が変化すれば高気圧・低気圧が発生して温度も変化し風も変化する。さらに雲ができ、雨が降る。これらの変化がまた気温を変化させる、、、。このような一連の変化が実際の気象の変化をもたらすので、「一口の説明」では説明できません。物理学・数学を応用して理解する必要があり、これはみんなが中学、高校、大学に進んで取り扱えるようになることで、楽しみにしていてくださいね、と将来の学習へのつながりを強調しました。

上の写真のように冬と夏では気圧の配置が異なりますが、この気圧も日々、連続して変化していて、それによって降水量や気温が変化します。このような気象の変化は地球が誕生し、大気が今のような状態になってから、連綿として続いてきました。大地殻変動や噴火、隕石の衝突による大きな気候変動も起こりました。今は人類の活動が大きな気候の変化を生み出しています。

最後に感動することについて一言。最初にひまわりの送ってきた地球にかかる雲の画像を見た時はとても興奮しました。「感動することが理解の始まり!」です。

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今では、国際宇宙ステーション(ISS)から撮影した画像を簡単に見ることができます。

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(国際宇宙ステーション(ISS)から撮影された「スーパー台風」に発達した台風4号 (アジア名:メイサーク)の写真(2015年3月31日撮影、4月2日提供)。(c)AFP/ESA/NASA/Samantha Cristoforetti)

今では国際的に使われている10種類の雲の分類法は、19世紀の初めにイギリスのハワードによって作られました。彼は製薬会社の化学技術者で気象はアマチュアでしたが、雲の分類の必要性を感じて各地で雲を観察し、10種に分類してラテン語をベースとして名前を付けました。

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雪の結晶も、虹も美しいですね。また生物を観察すれば季節の変化を体感できます。こうしたちょっとしたことやものに感動して、いろいろと考えてみてくださいね。

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最後に児童の代表からお礼のあいさつがあって、授業は終わりました。

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江戸川区子ども未来館での活動(4)

大井みさほ会員が、8月16日午後に江戸川区子ども未来館で夏休み応援プロジェクトの一つ「光の進み方を調べてみよう」という実験授業を、小学校児童3年から6年までの20名を対象に実施しました。

光の進み方というテーマなので、まず各種光源の説明をしたのち、レーザー光による光の直進、屈折、反射、全反射の説明を行いました。ついで光ファイバーを使ってレーザー光が全反射によって光ファイバー中を伝わることを説明し、各自に光ファイバーを渡して実験と観察を行ってもらいました。最後に回折格子で簡易分光器を作ってもらい、光が分光されるのを観察しました。

予想に反して3年生が10名あるいはそれ以上いたので、説明の仕方に注意しました。また、回折格子の説明のために、水槽の離れた2か所で波を発生させ、その波の動きを観察させてから、光の回折の説明に入るように工夫しました。児童の書いた感想文には、光が波であることに驚いたという記述が多くみられました。

用語を正確に使えない児童もいるので、あらかじめ実験ための覚書き渡しておくべきだった、また回折格子分光器の製作に時間がかかり過ぎるので、分光器作りは省いて光ファイバーの実験に時間をかけたほうがよかったかもしれないと思いました。次回以降に生かしていきたいと思っています。

江戸川区子ども未来館での活動(3)

有山正孝会員が、8月4日の午後2時から3時半まで、江戸川区子ども未来館で夏休み応援プロジェクトのプログラムの一つ「重さをはかる、さおばかり作り」という実験授業を、4~5年生の児童14人に行いました。

最初にさおばかりで重さを測ることを実演します。このような、さおばかりを各自が作るのが今日の最終目的です。さおばかりは、昔はどこの家にもあったのですが、今となっては目にすることはなくなってしまいましたね。このように持って、左側のお皿に測りたいものを載せ、分銅を動かして、釣り合う場所を探して目盛りを読みます。20160804-1

江戸時代にはこんな携帯用のさおばかりもあったんです。

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竿が細いので写真ではわかりずらいですが、象牙のようです。こんな携帯ケースに入れて持ち歩いていたんですね。

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重さを測るはかりには他にどんなものがあるでしょう。

天秤ばかりでは大きなものお皿に載せることはできません。昔の学校の保健室にあった体重計は台秤といって、載せ台が大きくなっていて、人がこの台の上に載って体重を測ります。大きなものは象でも測れます。複数のてこを利用して、台の下方への動きを目盛り竿の傾きに変えて測定するのです。

BT-250Rこれ(次の写真)は、ばねばかりです。ばねの伸び縮みを利用して測ります。

20160804-4上皿ばねはかりも、ばねの伸縮を利用した秤です。皆さんのおうちにあるキッチンスケールや体重計も、多くはこの上皿ばね秤です。

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天秤棒というのをご存知ですか。下の浮世絵は鈴木晴信の筆になるもので、江戸時代の水売りが天秤棒を使って売り物を運んでいるようすを描いたものです(東京国立博物館所蔵、Wikipediaより)。

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丸い天秤棒がないので、角材を利用するとこんな風になります。

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こんな小さなざるでは、商売繁盛とはいきませんね。前と後ろのざる(上の絵では桶)に入れる物の重さを同じにすると、棒の真ん中で担げばバランスが取れます。洗濯物干しハンガーを使うとき、水平になるように干すもの(写真では軍手)を両側で同じ数にしてバランスをとりますね。20160804-9

担いでいる点(ハンガーではつる下げるフックの位置)を支点といい、両側のざる(絵では桶)の下がっている位置を力点といいます。二つの力点のちょうど真ん中に支点があって、両方の力点にかかる重さが同じであれば、天秤棒もハンガーも、傾かずにバランスよくものを吊るせるのです。

この原理を利用したものに精密天秤があります。片方の皿に測りたいものを載せ、反対の皿に分銅を載せて釣り合うようにし、重さを求めます。昔はこれで薬品など僅かな量のものの重さを精確に測る訓練を受けたものです。空気の流れによるかく乱を防ぐために木製のケースに入っていて、測定のたびに前扉を閉じます。

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http://monotest.blog119.fc2.com/blog-entry-52.html?spより

ここまでで次のことがわかります。「支点から力点までの距離が等しいときは、力点にかかる重さを同じにすれば釣り合う」ということです。

今度は私が作った装置を使って、まず上の関係が成り立つか確かめてみましょう。20160804-1120160804-17左側の距離と右側の距離が同じ3で、どちらもおもりが2の場合は、3X2=3X2 で棒は傾いていません(上にあるクリップは両側の重さを調節するためのものです)。
20160804-18今度は、右側の同じところにおもりを一つ加えると、3X2≠3X3となって、棒は右に傾きます。

支点から二つの力点までの長さが違う場合にはどうなるか調べてみましょう。
20160804-194X1=1X4 で釣り合っています。
20160804-203X2=2X3 で釣り合っています。

これらをまとめて言うと、

左側:支点から力点までの距離 X 力点にかかる重さ=
右側:支点から力点までの距離 X 力点にかかる重さ

が成り立つとき、てこは釣り合う、のです。

これを「てこの規則性」といいます。

この「てこの規則性」を利用して、少し別のことをしてみましょう。用意した釘を打ち込んだ木片を配ります。手で抜いてみてください。うーんと頑張っても抜けません。そこでくぎ抜き(バール)の登場です。木片を押さえてくぎ抜きの長いほうをもって下向きに力をかければ、簡単に釘が抜けました。

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この場合、くぎ抜きの曲がった部分が支点、力をかける点を力点、その力を伝えるくぎを挟む部分を作用点と呼んでいます。

釘抜きの支点力点作用点

まっすぐに直すと、下の図のようになります。

支点から力点までの距離を大きくすれば、力点にかけれる力は小さくても作用点には大きな力が伝わります。栓抜きも鋏もペンチも、みんなこれを応用しているのですね。

下の動画も参考になります。

これで準備ができました。それぞれの児童にさおばかり作製キット(さお、紙皿、持ち手用の黄色いひも、皿を下げるタコ糸、クリップ、クリップをつるすタコ糸、分銅の役割をする100g砂袋)を配り、作製開始です。

さおには紙皿を下げるための丸形洋釘(真鍮ヒートンというらしい)と、支点の位置を示す釘が打ってあります。

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長いほうのタコ糸を使って、紙皿の3つの穴をくぐらせて洋釘の丸い部分につないで3本の糸が均等の長さになるようにします。次に支点としての持ち手を黄色いひもで作り、さらに砂袋を分銅として使えるようにします。

20160804-13紙皿に砂袋を3つ乗せ、分銅(砂袋1つ)動かして釣り合う位置を確定し、印をつけて300と記入します。さらに砂袋を増やして400、500とし、あとは等間隔で目盛りを振っていきます。これで300gから800gくらいまで図れるさおばかりができました。砂袋の数が足りないので机ごとに協力して、作業進めてもらいました。

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てこの規則性は6年で学習します。今日の実験授業がきっと理解の助けになるでしょう。面白かった、楽しかったという感想が多かったので。

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それではこれで終わります。ありがとうございました。

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杉並区高円寺中学校での活動

大井みさほ会員が、8月3日の午前8時50分から午後4時10分まで、杉並区高円寺中学校で、杉並区が企画した5日間にわたる「中学生フューチャーサイエンスクラブ」の中の一つ、「未来エネルギーコース・光工学」を担当して、2時間半のコースを午前と午後の2回、行いました。

午前のコースは24名、午後のコースは25名の参加があり、それぞれ、①各種光源の説明、とくにレーザー、②空気中及び水槽を使ったレーザー光による光の直進、屈折、反射、全反射の説明、演示実験、生徒自身による水槽を使った屈折、反射、全反射の実験、③光ファイバーの説明と演示。生徒自身による光ファイバーを使って光の送信・受信、とくにモールス信号で数を送受信する実験、④分光の講義と回折格子による演示、生徒自身による回折格子分光計の製作、蛍光灯等の観察を行いました。

参加者は杉並区在住の中学生生徒で、区立以外に、私立や国立の中学校の生徒も混ざっていました。杉並区教育センター職員やボランティアの元理科教員が手伝ってくれて、スムースに実験授業を行うことができました。

江戸川区子ども未来館での活動(2)

廣田穣会員が、7月27日の午後2時から3時半まで、江戸川区子ども未来館で夏休み応援プロジェクトのプログラムの一つ「酸性・アルカリ性って何かな」という実験授業を、3~6年生の児童14人に行いました。

実験授業の内容は昨年とほぼ同じで、自分でリトマス試験紙を作る、リトマス試験紙を使って、賛成・アルカリ性を決める、さらにいろいろな酸アルカリ指示薬を紹介、これらを組み合わせていろいろな液体のpHを決める、野菜や果物のしぼり汁を指示薬として試してみる、万能指示薬を使ってみる、といったものでした。

市川学園での活動

細矢治夫、廣田 穣、町田武生会員が、7月9日の午後1時から4時20分まで、市川市の私立市川学園高等学校で行われたSSH課題研究発表会に参加しました。

市川学園高等学校は、文部科学省が次世代人材育成事業として行っているスーパーサイエンスハイスクール(SSH)の指定校で、様々な取り組みを行っていますが、その一つとして2年生の生徒が課題研究を行います。その中間発表会としてポスターによる発表会が行われ、会員は各ポスターを回って生徒の発表を聞き、討論や助言を行いました。数学、物理、化学、生物の分野でおよそ130件のポスターがあり、担当者は外部からの参加者と生徒に対して熱心に説明し、質問に答えていました。

発表会終了後参加した教員や助言者の意見交換会があり、これにも参加して、意見、感想を述べました。

八王子市立城山中学校でイベントの打ち合わせ

大井みさほ会員と奥田治之会員が、7月21日に八王子市立城山中学校において、10月8日(土)に予定されているイベント(理科実験ラウンドテーブル)の実施について、中学校教員、城山中PTAおよび七中PTA役員と打ち合わせを行いました。

SSISSはこのところ、八王子市中学校PTA連合や各中学校と協力して、理科好き中学生を生み出し、さらに支えるための各種の企画に協力をしています。城山中学校では熱心な校長先生のサポートもあって、一昨年から理科実験ラウンドテーブルとでもいうか、いくつかのテーマごとにテーブルの周りに生徒を集め、実験をしたり、観察とディスカッションをしたりするイベントを行っています。

今年度も上記の日程で行うことになり、その細部を詰める打ち合わせを行ったというわけです。