「活動記録」カテゴリーアーカイブ

沖縄県久米島西中学校でのサイエンスカフェ

日江井榮二郎会員が、12月4日(金)の午後4時45分から1時間、校長先生主催の教職員のためのサイエンスカフェで、天文、日食、宇宙についてお話をしました。

教職員はコーヒーカップを手に会場に集まり、スライドの準備ができたところで、校長先生から講師の日江井会員の紹介があり、音楽と宇宙の写真をバックに、話が始まりました。

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最初に、国立天文台のパンフレットを手に、日本各地にある天文台、ハワイとチリにある共同利用の天文台でどのようなプロジェクトが進められているかの説明がありました。

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ついで今年の3月にスバールバル島で観測できた皆既日食の動画を見て、太陽と地球の位置関係で起こる感動的な光景を見ました(下の動画は当日のものとは異なります)。

5分52秒

皆既日食を観測した地球から、どんどん遠ざかっていくと、宇宙はどんな風に見えるのでしょうか?地球から宇宙への出発です(これも当日の動画とは異なります)。

6分30秒

似たような趣旨の動画です。これは宇宙へ行き、戻ってきて細胞の中まで入り込みます。

9分

こうして宇宙を俯瞰した後、宇宙の成り立ちと歴史にふれ、物質が生成してそれが巡り巡って人の体をも作っていることを説明しました。また聴講者に「星を見て何を感じるか、想像するか」と問いかけ、そこから人と星、宇宙にまつわる様々な話を展開して聴衆を魅了しました。講演が終わっても話は尽きませんでした(プロジェクターの向こうで話しかけています)。

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終了後、校長室で島村一司校長、理科担当の教諭、出前授業を行った和田会員を交えて懇談し、理科教育のあるべき姿などを議論しました。

沖縄県久米島西中学校での活動

和田勝会員が、12月4日(金)の午後2時から4時10分まで、沖縄県久米島町久米島西中学校で「久米島の自然と生物のかかわり」というタイトルで、3年生の生徒45人に出前授業を行いました。

最初に久米島西中学校の島村一司校長先生から、「久米島は周囲40kmの小さな島ですが、南西諸島全域の地層が見られ、動物が固有の進化をとげています。キクザトサワヘビやクメジマノコギリクワガタ等、頭に「クメジマ」とつく昆虫が多く見られます。生物と環境がどの様に関わり合っているのかを話してほしいです」という要請を受けました。調べてみるとたしかに、久米島には、クメジマの名を冠した固有種が多数生息しています。上に述べた以外にも、クメジマボタル、クメトカゲモドキ、クメジマミナミサワガニ、クメジママイマイなどです。

久米島は沖縄本島の西にあり、屋久島につながる東端のトカラ列島から、台湾につながる西端の与那国島までの孤状列島の中に位置しています。ちょうどフィリピンプレートがユーラシアプレートに沈み込む琉球海溝に平行した火山フロントに沿った火山島と付加体と、さらにサンゴ礁が堆積してできた石灰岩でできています。動物地理区では、日本本土が旧北区に含まれるのに対して、東洋区に属していて、昔、習った渡瀬線を思い出します。

プレート境界JODC( JODCの海底図にプレートの線を手書きで入れました。そのため線の境界は正確ではありません)

そこで構想10年(というのは嘘ですが)、やはりプレートテクトニクスの話を入れなければと思い、ウェーゲナーの大陸移動説から話を始めました。話の筋は以下のとおりです。

1)久米島には、どうして「クメジマ」の名前の付いた固有種が多いの?
2)地球の成り立ちを理解する
3)地球上にはどうしてこんなに生物がいるの?
4)進化と遺伝
5)ふたたび久米島の自然について

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校長先生に紹介されて話し始めました。中学3年までに、第二分野で、大地の成り立ちと変化、プレート、生物と細胞、生物の変遷と進化、生命の連続性、細胞分裂、遺伝の規則性と遺伝子(DNAが本体であること)などを学習してきているはずです。これまで学習したことが、すべてつなっがているのだということを強調して話を進めました。

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一生懸命、わかりやすくと気をつけながら話しているつもりですが、客席の反応は、、?うーん。笑顔が足りない、おっかない感じ。今、写真を見ると感じます。まだまだ話し方がダメなんですね。

最後に代表の方からお礼の言葉を述べてもらいました。また、後で感想を送ってもらいました。その中からいくつか。

「内容は難しかったです。しかし、久米島の動物や他の動物のしくみなど時代に適した体になっていくことを知り、とてもすごいと思いました。(後略)」
「とてもむずかしかったです。プレートとかやっていたのでじしんのはなし、つなみの話なども聞きたかったです。本当にむずかしかったです。」
「今日の授業では地理で学んだことや理科で習ったことがつながっていることに驚きました。一見、つながりがないようなプレートの話と久米島を含む沖縄の生態系が関係していることが新しい発見でした。また、理科で習ったことも出てきたのでとてもわかりやすかったです。」
「今日の出前授業は、今までに習ったことや、新たに知ることの多かった授業です。まず、最初の地球はほんとうはジグソーパズルのピースのようにくっついていたのが、はなれていったということでした。だから、もし大陸がくっついていたら外国にも簡単に行けるのかなと思いました。私は久米島に15年間住んでいるけれど、まだまだ久米島の生物や自然について知らないことばかりでした。遺伝や形質などについては理科の授業でも勉強していたのですぐに理解することができました。今日はおいそがしい中、私たちの出前授業をしてくれてありがとうございました。おかげで、久米島の自然や生物について、前よりも知ることができs巻いた。今日学んだことを忘れずに、いろんな人に久米島の良さをしょうかいできたらいいです。今日はほんとうにありがとうございました。」

板橋区立第三中学校での活動

細矢治夫会員が、11月11日に東京都板橋区立高島第三中学校で行われた板橋区立中学校理科教育研究会の実験授業を参観し、その後の協議会で講演を行いました。

研究授業の内容は、1年生理科の「 身のまわりの物質、ア)身のまわりの物質とその性質」の単元で、生徒に白い粉末を与え、いくつかの実験によってその物質名を当てる、という課題でした。

講演では、物質の三態変化の中で、固体⇔気体間の直接の相変化が、現在の教科書では、→も←も「昇華」となっていることに触れ、現在、この不合理を解消するために、日本化学会が動き出した、という最新の情報を伝えました。どうしてこのような誤りが生じ、続いてきたかは、長い歴史がありますが、ともあれ「気体」→「固体」は「凝華」と称するようになり、漢字圏である中国や台湾と同じになります。この問題に関する参考資料も配布しました。

物質の三態

ところで、10月23日は「化学の日」と日本化学会が定めています。3月3日が「耳の日」だったり、6月4日が「虫歯予防デー」だったり、11月11日が「いい夫婦の日」だったり、語呂合わせで記念日を定めることが多いですが、10月23日は化学とは語呂が合いません。でも化学を学習した人ならすぐに、ピンとくるでしょう。そう、10月23日は10の23乗で、アボガドロ数のべき乗部分なのです(ちょっと苦しいけれど)。毎年この日に合わせた1週間、日本化学会は缶バッチをつくり、さまざまな行事を行って、定着を図っています。

日本化学会からこの缶バッチとクリアーファイルの提供を受け、参加者全員に配布して、大変喜ばれました。

第7回八王子市中学校科学コンクール最終審査

有山正孝、細矢治夫、奥田治之、町田武生会員が、10月24日の午前9時半から昼食をはさんで午後2時まで、八王子市立油井中学校で開かれた、第7回八王子市中学校科学コンクール最終審査に参加し、生徒の作品の審査を行いました。

このコンクールは八王子市立中学校PTA連合会が主催しているもので、SSISSはこれまでも、中学校での課題実施に対する相談、デモ実験などを通して協力してきています。

今回は、最終審査会に参加して他の5名の審査員とともに、応募作品140件の中から2次審査を通過して最終審査に上げられた35件の作品を審査し、入賞5件を決定しました。入賞者に対する表彰式は11月28日に行われます。

着眼点の面白いもの、丁寧な観察をまとめたものなどが見られた半面、ネットで知った実験をほぼそのまま行ったものや、科学研究としては疑わしいものなどもありました。また、数量的な扱いがほとんどなされていなかったのが残念でした。今後、これらの点に対して、どのような啓発活動を行えるか考える必要があると感じました。

しかしながら、PTA連合会の活動としては特筆すべき取り組みで、今後の一層の発展が期待されます。

板橋区立中台中学校での活動

清水忠雄会員が、10月22日に東京都板橋区立中台中学校で行われた板橋区立中学校理科教育研究会の実験授業を参観し、その後の講評会に参加しました。以下は清水会員のコメントです。

今回の実験授業は、中学三年生理科の「運動とエネルギー」で、生徒約50人に対して中台中学校の教諭が行いました。実験は教科書に沿って、ペットボトルの蓋(キャップ)を10個、三角形になるよう並べ、その頂点に指ではじいて簡易速度計を通した別のキャップをぶつけ、何個のキャップが動いたかを数え、速度と動いたキャップの数をグラフに描いて、運動とエネルギーの関係を明らかにするというものです(次の図は下のサイトから借りています)。今回の実験授業では、 グラフを描く作業は宿題になりました。

清水図

丸亀市立中学校池本和志氏の報告より

この実験は、衝突によってキャップが飛び上がってしまったり、遠くに飛びすぎたりする例がみられ、キャップの移動という現象が、正しく運動のエネルギーを反映していない場合が多いこと、グラフを描く作業は宿題にせずに、その場で行う方がいいとコメントしました。上記の丸亀中の報告書では、飛び上がらないように、また速度を適正にするために、事前の練習が必要だと述べています。

キャップを使ったこの実験では、誤差・ばらつきが大きすぎるが、それでもグラフは二次関数にフィットすることを示すべきで、そこからエネルギーがなぜ速度の2乗になるかを物理的に説明できるように誘導すべきだと思いました。この実験を改良するためには、衝突体を球形にすること、運動エネルギーを受け取る方も球体1つにして、はじかれた距離を計測した方が、より正確な結果になるのではないか、などの検討がなされました。

これに関連して、「中学理科(ハロ理科)No.14」には、台車を使い、動けるように挟んだ物差しにぶつけて、その物差しの移動距離を計測する例が載っています。台車のスピードを変えて計測し、別な実験では台車の重さを変えて計測し、そこから、運動エネルギーは「物体の速さの2乗X物体の質量」に比例することを導くとしています(次の図は上記のサイトから借りています)。

 


キャップを使った実験の問題点を十分に議論する時間がなかったのと、エネルギーの理解に向けた授業案を用意したけれど披露する時間がなかったのが残念でした。

公文国際学園での活動

細矢治夫、行本万里子、廣田 穰会員が、9月29日から10月2日の4日間、午前9時30分から12時20分まで、横浜市戸塚区にある公文国際学園中等部・高等部で、学校行事の一つであるインタレストスタディーズの中で実験授業を行いました。受講したのは、1年生を中心に21名でした。この学校行事は、通常の授業ではできないような企画を教員それぞれが提案し、生徒が企画を選んで4日間集中的に学び、教科・ジャンルにとらわれず生徒の興味と関心を引き出す目的で行われています。

公文国際学園のインタレストスタディー紹介ページhttp://kumon.ac.jp/k-gakuen/kokusai/20151020NewsJuniorGyouJi.html

SSISSは次に述べるようなテーマを提供し、公文国際学園の担当者である根市有希教諭の助言のもと、16人の生徒が2人1組となって実施し、最終日には生徒による実験結果のまとめの発表会を行い、質疑応答を行いました。

実施したテーマは、1)折り紙を使った分子に立体模型(細矢)、2)pHによる植物しぼり汁の色の変化(廣田)、3)色の変化の化学(廣田)、4)電気をつくる-電池を中心として(廣田)、5)藍染めによる染色の実験、です。

ここでは3)と4)を取り上げて、どのような狙いで行ったかを書いておきます。

3)色の変化の化学
〇クロムCr,マンガンMn,鉄Fe,コバルトCo,ニッケルNi,銅Cuなどの化合物の結晶の色(例:硫酸銅、塩化コバルト、過マンガン酸カリウムなど)
〇試薬を加えると色が出たり変わったりする反応(呈色反応)
〇pH指示薬による染料の反応、ヨード-デンプン反応、インジゴカルミンの酸化還元反応のような有機化合物による反応
〇炎色反応(無色の化合物でも炎色反応は出る)

炎色反応 YouTubeより

硫酸銅や塩化コバルトの色の変化と過マンガン酸カリウムなどのマンガン化合物の色の変化にはどのような違いがあるか。
物質色についての実験と、物質の放つ光の実験とに分けて、比較して考察してみよう。

4)電気を作るー電池を中心として
電気を作るいろいろな方法
〇力学的な力でタービンを回す発電(火力・水力・原子力など)
〇光電効果を利用した発電(太陽光発電など)
〇温度差を利用した発電(ペルチエ効果)
〇化学反応を利用した発電(電池)
11円電池
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上の図は下記のページより
http://www.eonet.ne.jp/~n-koubou/faradei-pulan.htm

この実験で作った電池の特徴をくらべてみよう。
電気から他の形のエネルギーに変換する方法にはどんなものがあるか。

城山中学校でのイベントの打ち合わせ

有山正孝、大井みさほ、奥田治夫会員が、9月24日(木)に、八王子市立城山中学校で、来年1月9日(土)に予定されているイベントの打ち合わせを行いました。城山中学校側からは、中村光里教諭を含む理科教員3名と前川副校長、八王子市立中学校PTA連合から合田会長、志村副会長が出席しました。

イベントは昨年も行ったように、体育館にブースを置いて、そこでデモ実験棟を行い、生徒が各ブースを選んで実験等に参加する、というものです。今回の話し合いで、以下のように決まりました。

  1. 昨年度(27117日)実施のイベントを基に計画を進める。
  2. ブース数は6~8程度で生物を入れたい。
  3. 実験はよいが講義はむずかしいのでレベルを下げるなど講師は工夫をする。
  4. 生徒から引き出すには解答を選ばせるクイズ形式を入れるとよい。
  5. 時間を5分長い50分とする。
  6. 参加者にはいわゆるオミヤゲを渡す。
  7. 寒さ対策 防寒着、懐炉等は各自用意する。

今後、理事会などでブースの担当者と実施する内容を決めていくことになります。興味のある会員の方はお知らせください。

江戸川区子ども未来館での活動(4)

和田勝会員が、9月23日(水)の午後2時から3時半まで、江戸川区子ども未来館で「生きものは細胞からできている」というタイトルで、3~6年生の児童15人に実験授業を行いました。

今回は、子ども未来館・子どもアカデミアが募集した9月の教室の一つとして、上記のタイトルで行い、事前申し込みで決まった15名の児童が受講しました。ちなみに、9月の事前申し込みの教室は9つあり、今回のもの以外に、「稲刈り体験と左近川の生きもの観察」、「はじめてのロボット教室」、「おとをつくろう!おととであそぼう!」、「すてきな山の幸染め~葉っぱでコラージュ~」、「江戸川で秋の七草とバッタを探そう」、「深海の不思議」、「落ち葉の下の小さな生きもの」、「びっくり!人工イクラを作ってみよう」と、魅力的な内容の教室があります。

今回の実験授業ですが、「生き物は細胞からできている」としたのは、植物でも動物でも、生き物の基本的な単位は細胞であるということを実感してもらうためです。

日本の理科教育では、「細胞」という言葉は小学校では出てきません。平成20年6月に改訂された小学校学習指導要領理科編を見ると、小学校の理科では、その目標として、「自然に親しみ、見通しを持って観察、実験などを行い、問題解決の能力と自然を愛する心情を育てるとともに、自然の事物・現象について実感を伴った理解を図り、科学的な見方や考え方を養う。」とあります。しかしながら、生物分野の内容は、どちらかというと、「自然に親しみ」に力点が置かれた教科書のつくりになっているような気がします。そのためか4年生で筋肉や骨、6年生では体の各器官の記述がありますが、「細胞」という言葉は出てきません。「細胞」が登場するのは、中学校2年生になってからです。筆者はこのような順序建てを、たいへん不満に思っています。

一方、よく引き合いに出されるフィンランドの理科教育では、小学校2年生の教科書に、人体内部の各器官の図とともに、基本的な細胞(上皮細胞、横紋筋の細胞、神経細胞、造骨細胞、破骨細胞、マクロファージ・白血球群など)が、模式的ではない、かなり正確な図とともに記載されています(下の写真:国立教育政策研究所・研究紹介、第二部 理科教科書に関する国際比較調査結果報告 Ⅱ-8.フィンランド;「フィンランドの理科教育から学ぶもの」鈴木誠、教科研究中学校理科、No185 学校図書株式会社)。

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ということで、実感するため、つまり観察するためには、拡大装置が必要です。全体のイントロダクションとして、スライドを使って、植物も動物も、生き物は細胞からできている、でも目で見ただけではわからず、拡大しなければわからない、拡大するには虫眼鏡、実体顕微鏡があるが、これではまだ拡大率が不足している、そこで光学顕微鏡の登場という順序で話しを進めました。

ついで顕微鏡の使い方を、HE染色したプレパラートを配布し、各自の目の前にある顕微鏡を使って説明しました。江戸川子ども未来館に備品としてある顕微鏡は、接眼レンズがx10、対物レンズがx4、x10、x40、x60、メカニカルステージ付き、LEDの内蔵照明のある比較的、性能の高いものです。

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各部の名称がたくさんあって、戸惑わせることになるのですが、正しく使うためには仕方がないので、手に取って説明しました。

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配布した染色済みのプレパラートを使って、まずいちばん低倍(x40)で見たいものを視野の真ん中に持っていき、ピント調節粗動ねじと微動ねじを使って、ピントを合わせます。一度ピントを合わせると、対物レンズを変えて、一段、高い倍率(x100)にしても、それほどピントはずれません。レボルバーを回して対物レンズを変え、微動ねじでピントを合わせられます。あとはこの繰り返しです。それでも見ていると、見たいものを常に視野の中央に置くようにメカニカルステージを動かして調節する、ステージは動かさずに倍率を変える、ということを忘れて動かしてしまい、染色された切片を見失う児童が多く見受けられました。もっと説明をする必要があったのかもしれません。

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顕微鏡の取り扱いになれたところで、次に自分で観察するプレパラートを作ることにします。定番のタマネギ鱗茎葉表皮を使います。下の写真は実演して見せようとしているのですが、老眼でよく見えず、もたもたしているところです。

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若い受講者は難なくこなして、薄い表皮をはがし、スライドグラスに載せて酢酸カーミンで染色していきます。ちょっとお手伝いもしましたが。

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ちゃんと見えたよ、どれどれ、、という写真です。スケッチもしてもらいました。

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ついでミニトマト(子ども未来館屋上で採れたもの)の表皮を観察してもらいます。もちろん自分でプレパラートを作って。並んだ細胞の大きさが違い、中に赤い色素の粒が詰まっているのが見えます。

ここまでは植物です。動物の細胞として、自分の口腔上皮細胞を観察することにします。まず口を漱いできれいにし、綿棒で頬の内側をかきとってスライドグラスに載せ、染色。数が少ないので、みんなは探すのに少し手間取りましたが、大多数の児童が観察に成功。

5年生で習う発生の話をして、細胞は数を増やすことによって体を作っていくことを説明。基礎生物学研究所の作成したメダカの発生の動画を見てもらいました。

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時間の関係でナスの観察を省いてしまったり、パワーポイントのスライドとこちらの口頭での説明がうまくかみ合わなかったりと、反省点もある実験授業でした。反省会でも時間の配分など、改善点を話し合いました。でも、終了後に受講者が書いた「発見カード」には、次のような感想があり、ほっとしました。

「今日わかったことやもっと知りたいことを書きましょう。」
・今日は、タマネギ、トマト、自分の細ぼうを調べるたいけんをしたことがなかったので、とても勉強になりました。他の細ぼうも調べてみたいです。(3年女)
・今日は、トマトやたまねぎの細胞を見て、まい日たべている野菜の皮などにこんなものがついてるの?とおどろきました。他のものの細胞も調べたいです。(5年女)
・生物は、細胞でできていることがしりました。(4年男)
・自分のさいぼうは目ではみれないのに、けんびきょうでみれてうれしいです。(3年女)
・ぼくの細胞をみたら、なかったと思ったけど、あった。ナスも見たかった。自分でみたい。(5年男)
・いろいろなものの細胞が見れてよかった。もっといろいろなものの細胞を見たいです(3年男)
・タマネギの細胞はトマトより細かくなかったけど、トマトはすごいこまかかった。あと、自分の細胞も見れてよかったです。(3年男)
・トマトとタマネギの表皮がぜんぜんちがうかたちだった。(5年女)
・トマトとタマネギの細ぼうはこんなにもちがうなんて、びっくりしましました。ナスもやってみたかったです。とくに、トマトがこんなかんじみたいなんて、ぜんぜん想ぞうできなかったので、知れてうれしかったです。(4年女)
・さいぼうは、玉ねぎやトマトにもある。ナスもやりたかった。さいぼうはいっぱいわかれる。(3年女)

杉並区中学生フューチャーサイエンスクラブでの活動

大井みさほ会員が、8月5日の午前と午後に、杉並区が主催する「杉並区中学生フューチャーサイエンスクラブ」の「未来技術・エネルギーコース(全5回)」の中で、「光工学」というタイトルで実験授業を行いました。

このプログラムは、杉並区在住・在学の中学生を対象として8月3日から7日まで開催される催しで、事前申し込みを受け付けて抽選で受講者を選んでいます。杉並区のキャッチコピーは、「未来に輝く中学生のための科学教室です。最先端の科学を体験してみませんか?」

会場は高円寺中学校です。高円寺といえば「阿波踊り」、毎年、華やかに行われますが、高円寺中学校でも「もう止ま連」などという「連」を作って、わくわくフェスティバルで披露しているようです。
写真は(C)東京高円寺阿波踊りhttp://hanabi.yahoo.co.jp/spot/detail/i168234/より

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本筋から外れてしまいました。元に戻して、午前9時半から12時までと午後1時から3時半までの2回、説明、演示実験、生徒自身の実験、工作のコースを行ないました。午前は30名、午後は18名の生徒が受講しました。

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内容は4つに分かれます。①まず、各種光源の説明を行ない、次に空気中をレーザー光のビームが直進することを水槽を使って示し、空気中から水中に入るとき界面で屈折すること、さらに入射する角度によって反射、あるいは全反射をすることを説明して演示実験で見せました。②水槽を使って生徒による屈折、反射、全反射の実験を行ってもらいました。③光ファイバーについて説明し、レーザー光は全反射によって遠くまで届くことを演示し、生徒自身により光ファイバーを使ってレーザー光の送信・受信、さらにモールス信号を使って情報を送れることを、数の引き算をして実感してもらいました。④さらに、分光についての講義を行い、回折格子を使って分光の演示、生徒自身に回折格子分光計を製作してもらい、蛍光灯や屋外光の観察を行いました。

光ファイバー http://optica.cocolog-nifty.com/photos/uncategorized/2012/02/05/photo.png より

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最後に公立学校では教えないはずの光が空中から水中に入るときにどうして屈折するかを質問してみたところ、正解の生徒が一人いたのには驚かされました。参加者は杉並区に住む生徒ですが、私立、国立の中学校の生徒もいるということでした。

これらの学習は、2月末に発表の場が与えられる生徒の自由研究に活かしたいとのことでした。

江戸川区子ども未来館での活動(3)

有山正孝会員が、8月4日(水)の午後2時から3時半まで、江戸川区子ども未来館で「モーターのしくみ モーターを作ってみよう」というタイトルで、4~6年生の児童14人に実験授業を行いました。広報担当理事が、取材と称して参加したので、少し詳しく報告します。

江戸川区子ども未来館は、江戸川のほとり篠崎町三丁目にあり、一階が子どもライブラリー(篠崎子ども図書館)、二階が子供アカデミーとなっていて、二階に実験室があります。公式ホームページにある施設の概要は以下の通りです。

http://www.city.edogawa.tokyo.jp/miraikan/heyashokai.html

この子供アカデミーが企画・運営している「夏休み応援プロジェクト」のたくさんのプログラム一つとして、今年はSSISSが4つのプログラムを提供しています。

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この建物の二階、写真では右側(西側)にテラスがあって、ゴーヤの緑のカーテンが見事に茂っています(このゴーヤもプログラムの中で使われます)。

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この建物の左側には隣接してポニーランドがあり、子供は無料でポニーに乗ることができます。大人はダメみたいです。

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プログラムとは関係ない余計なことを書きましたが、いよいよ始まりです。始まる前に、準備をして用意周到です。右の写真は磁力線を可視化するために、手芸で使うビニール被覆の鋼線を短く切って、下から磁石をあててできたイガイガです。

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有山先生の紹介とあいさつから始まります。今日はボランティアの人が5人もいます。それぞれの方々を紹介。
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まずは、身の回りのどんなものにモーターが使われているだろう、という質問から。

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洗濯機、扇風機、エアコンの室内機と室外機、ちょっと考えただけで、たくさんあることがわかります。それではモーターはどうして回るのでしょうか。今日はそのことを実験で学んで、自分でモーターを作ってみようという内容です。モーターってそんなに簡単に作れるの???これがモーターです、と掌に載せたものは、、。

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かわいいモーターです。でも、ちゃんと回るからお楽しみに。

原理の説明。磁石は直接触れなくても、別の磁石に力を及ぼすことができます。銅線に電流を流すと磁力線を出します。磁針の上に電流を流した銅線を置くと、この通り、、。

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テーブルに小さな磁針と銅線があるから、試してみよう(あらかじめ単一乾電池と電池ボックスを渡してある)と、みんなも同じようにやってみると、、。

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確かに磁針が動きます。電池のプラスとマイナスを逆にしてつなぐと、振れる方向が逆になることも確認します。

今は、磁針が動くようにしたのだけれど、逆に磁石を固定して電流が流れる銅線をうごくようにすると、、。

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次の動画のように、ブランコ運動をします。

鉄棒の大回転、できる人いますか。私はできませんでした。でもあの原理です。こういう風に、力のかけ方をずらしていくと回転するようになります。

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さあ、モーターを作ってみましょう。カードボードにすでに用意した電池ボックスを両面テープで張り付けます。各テーブルにある、銅線を単三電池に3cmほど端を余らせて、しっかり巻き付けます。巻き終わった反対側の端も3cmほど余らせて、余らせた両方の端を今巻き終わったコイルを束ねるように巻き付けます。お団子を串刺しするように180度反対側に巻き付けます。

ここからが注意するところですよ。3cm余らせた一方の銅線の被覆部分をカッターナイフの刃の背でこすってはがします。最近の銅線は被覆の塗装の色は昔のようにこげ茶色でなく銅色なので注意をしてください。最初にマジックで全体を黒く塗っておくと分かりやすくなります。

次に反対側の3cm余らせた部分を、今度は下半分だけ被覆をはがします(この過程がうまくできない児童が多く見受けられたので、かなり丁寧に説明する必要があるようでした)。先生とボランティアが大活躍です。

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クリップを加工した軸受けを2cmほど離して両面テープで固定。そこに作ったコイルを載せてミノムシクリップが両端についた銅線で電池と結ぶと、。先生とボランティアの大活躍のおかげで、全員の手作りモーターが回りました。

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回っているモーターの動画です。よかった、よかった。

有山先生、ありがとうございました。

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参加者のコメントです。

「モーターがどのように動いているか、自分でモーターを作れて良かったです。モーターの仕組みを勉強して、もっと本格的なモーターを作ってみたいです。(6年男)」
「どうやったらうまくコイルがまわるのかを知りたい。モーターはむずかしい仕組みで、作るのがむすかしいことがわかった。(6年男)」
「モーターはせんぷうきにつかわれているので、そのモーターをつくることができてよかった。(5年男)」
「簡易モーターをつくった。最初は力を加えないと回らなかったが、少しずつモーターの回る力が増していき、最終的には、何もしなくても回り続けた。(5年女)」
「じしゃくに ー〇ー これを近づけると速く回る。(4年男)」

など、など。